[Japan In-depth 編集部]【女性の健康をみなが考える社会へ】~地球女性からだ会議®2015~
Japan In-depth / 2015年11月2日 18時0分
「女性が活躍する社会というが、女性の健康という問題が置き去りにされているのではないか?」声を上げたのは、乳がんや子宮頸がんを患った働く女性たちだ。女性が生き生きと働ける社会を実現する為には、こういった女性たちの声にこそ、耳を傾ける必要がある。
東京都渋谷区で開催された「地球女性からだ会議®2015」には、女性の健康や婦人科疾患の予防について活動する企業や団体を中心に、およそ100人が参加した。このイベントは、婦人科系検診の啓発や子宮頸がんの予防を通して女性の健康推進に取り組む一般社団法人「シンクパール」の主催。11月からの子宮頸がん予防啓発月間にあわせて開催された。
まず女性のヘルスケアの現状と課題について講演したのが、産婦人科医で女性ライフクリニック銀座の院長・対馬ルリ子さん。社会の変化が女性の体に与える影響について分かりやすく解説した。
かつては女性のヘルスケアといえば「妊娠・出産の安全」が全てだったが、今はそれぞれの年代で様々なトラブルがある。まず大きいのが月経の回数だ。昔は出産の年齢が早く、多産だったことに加え、平均寿命も今よりずっと短かったことから、一生のうちの月経はわずか50回ほどだった。しかし現代の女性の回数は、その10倍に増えている。これはつまり女性ホルモンが常に揺れ動いている状態を意味しており、これが、月経が少なかった時代にはあまりなかった子宮内膜症や子宮筋腫、乳がんといった病気の増加に結びついているという。
更に欧米諸国では1980年代から、女性のヘルスケアについてのシステムが整備されてきたのに対し、日本では未だに社会全体で重要視されていないと指摘。女性の健康支援について、日本は欧米よりも30年以上遅れているとした。
続いて行われたパネルディスカッションでは、Japan In-depthの安倍編集長がモデレーターを務め、女性の健康と社会進出について専門家らが議論した。厚生労働省の正林督章健康課長は、先月「女性の健康推進室」が新設されたことを報告。「霞が関でも若い女性職員が中心となり、女性の働き方の改善について声を上げるようになってきた。」と話した。
また名古屋大学教授で女性リーダーの育成に取り組む浅野みどりさんは、大学で働く女性研究者の割合を引き上げる為、学内に保育所に加えて学童保育所が設置されていることを紹介。「男性中心の流れの中では、女性はキャリアか子育てかどちらかしか選べなかったが、子育て期の母親でも制度を活用して自分の人生設計に合わせて様々な選択できるようにすべき。」と語った。
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