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[Japan In-depthチャンネル ニコ生公式放送リポート]【VWショック〜どうなるエコカー戦線〜】〜自動車アナリスト遠藤功治氏に聞く〜

Japan In-depth / 2015年11月7日 18時0分

[Japan In-depthチャンネル ニコ生公式放送リポート]【VWショック〜どうなるエコカー戦線〜】〜自動車アナリスト遠藤功治氏に聞く〜

11月2日、東京では第44回モーターショーが開催されるなか、米環境保護局(EPA)が、ポルシェの「カイエン」やアウディの「A8」、フォルクスワーゲン(VW)の「トゥアレグ」などの7車種に搭載されたディーゼルエンジンのソフトウェアに不正なプログラムが組み込まれていると指摘した。VWの営業利益の約6割を占める主力のポルシェとアウディにも問題が浮上したとなると、今後のVWの経営は厳しいものになると言わざるを得ない。この“VWショック”は、日本の自動車メーカにとって追い風になるのか。

今週の放送ではアドバンストリサーチジャパン マネージングディレクターの遠藤功治氏を招き、今後のVWの経営や、自動車業界の勢力図に変化が起こるのかなどの話を聞いた。

今年9月、VW車のディーゼルエンジンに掲載されたソフトが、排ガス試験の際だけ窒素酸化物などの有害物質の排出を抑制するようプログラムされていたという不正問題が発覚してから、1ヶ月以上が経過した。当時問題となった車は排出量が2リットルのもので、今回新たに指摘された車は排気量3リットルのものだ。

現在VWは「排気量が3リットルの車のディーゼルエンジンに不正はない」と言っており、真相はまだはっきりしていない。この1ヶ月強でVWの経営や市場にどう変化が起きたのか。「この1ヶ月で、VWの国内の月間販売台数は半減した。アメリカでは30件以上の集団訴訟が起き、48万台だったリコールが1100万台となり、更に80万台が対象になるとされている。VWは対策費用として8,700億円を特別損失に計上したが、それが、1兆円、2兆円、さらには10兆円に膨れ上がのでは、とまで言われている。これはドイツ経済のみならず、欧州全体の経済を揺るがすことになる」と遠藤氏は述べ、事態は9月時点より悪化していることを指摘した。

歴史も伝統もあるVWだが、その経営の在り方は特異である。「VWの元は、ヒトラーが立ち上げた国策会社であり、歴史がある。現在のVWの株保有比率は、一般の投資家が約10%であるのに対し、90%が州政府・ドイツ政府・ポルシェ家とピエヒ家という構成で、VW法のもと買収されないような仕組みになっている」と遠藤氏は述べ、同社が如何にドイツ経済、また政治にまでも根を張った会社であるかを解説した。

そんなドイツの老舗にメスを入れたのは米・EPAだ。「なぜアメリカから指摘を受けたのか」という安倍編集長の問いに対し、遠藤氏は「日本・アメリカ・ヨーロッパで、特に問題視されている有害物質が異なることが背景にある。日米は、大気汚染の原因となるNOxの規制に重点を置いており、海抜0メートルの国を持つヨーロッパは、地球温暖化の要因とされるCO2の排出量を減らすことを重視している。現在の技術ではどちらか一方の排出量を削減しようとすると、もう一方の排出量が増えることになる。そのため、CO2の排出量を抑えることのできるディーゼル車は、アメリカのNOxの環境基準をクリアすることが難しく、NOxの排出量を抑制しようとすると、燃費やハンドリングが悪くなる。だったら、テストのときだけクリアさせ、『NOxの排出量を抑えたまま、燃費が良く、ハンドリングも良いディーゼル車』という印象をアメリカの消費者に与えて売り込もうという意図があったのだろう」と答えた。

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