[岩田太郎]【黒人女子高生が白人保安官に引き倒された本当の理由】~米国の「教育」内情 その1 ~
Japan In-depth / 2015年11月10日 11時35分
アメリカ自由人権協会のニコール・キーフ氏は、「米国の学校における治安維持は、全般的に米警察による黒人取り締まりの丸写しだ。黒人生徒には推定有罪が適用され、『校内安全』の錦の御旗の下、些細なことにも厳しく暴力的な対応がなされる。黒人生徒がソーダ缶を投げたり、教師の許可なく教室から抜け出しただけで、『校内治安を乱した』として犯罪者にされ、逮捕される事例があまりにも多い」と指摘した。
黒人市民権弁護士のチャールズ・コールマン氏も、「米国の公立校は、その過剰に厳格な慣行や実態において、恐ろしいほど監獄に似ている。厳し過ぎる校則に従わねば、武装した制服警官が懲罰を加える。若い人には怖しい場所だ。常駐の警官は、登校時に生徒に笑顔で挨拶はするものの、その存在や機能そのものが、安全や保護されているという思いではなく、不安と不快感を抱かせる」と看破。
さらに同氏は、「校内の警官は、『学校から監獄行き自動コンベア』の最初の窓口だ。教師や校内カウンセラーが行うべき懲罰を警官に任せれば、(黒人)生徒が逮捕され、監獄送りになり、更生のチャンスを与えられずに再犯に向かう悪循環の契機になる」と述べ、「何よりまず、なぜ警官が生徒の教育に暴力を行使して関わるのかが、今一度考えられるべきだ」と現状を批判した。
校内乱射事件が多発する米国では、多くの中学校や高校で金属探知機が備えられ、常駐警官がいる。確かに、生徒の安全確保が必要な場合もある。だが多くの場合、「生徒に安全を提供する」はずの警官が、子供たちの安全への脅威そのものになっている。最も大切な「教育とは何か」という理解は、米国において教育者のみならず、行政や法執行機関、さらに社会全体から失われている。
(本シリーズ全3回。その2【従わねば罰する「教育」と傾聴し信頼する教育】とその3【見失われた教育がもたらす権力の暴走】に続く。)
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