[安倍宏行]【東電柏崎刈羽原発、安全対策の進捗】~訓練から得られる知見を生かせ~
Japan In-depth / 2015年11月18日 20時4分
世界最大級の原子力発電所が東京電力柏崎刈羽原子力発電所だと知っている人はどれほどいるだろうか。総出力821.2万kWを誇る原発7基が直列に並んでいる姿は壮観としかいいようがない。筆者がここを訪れたのは3年前。まだ新規制基準に合わせ、防潮堤の建設が始まったばかりであった。その当時、柏崎刈羽原発がどのような状態になっているのか東京キー局を始め大手新聞各紙も詳細には伝えていなかった。そこで筆者は当時担当していた報道番組(BSフジプライムニュース)で廣瀬直己東電社長をゲストに番組を制作した経緯がある。
そして3年。原発はどう変貌を遂げたのか、今月初めに再訪した。まず津波対策。柏崎刈羽原発には1号機から7号機まである。1号機から4号機側の敷地の高さは海抜5メートルであり、そこは高さ10メートルの鉄筋コンクリート製防潮堤が完成していた。また、海抜12メートルの敷地にある5号機から7号機側は高さ3メートルのセメント改良土による盛土で対策してあった。どちらも15メートル級の津波に備えたものだ。施設への浸水防止対策としては、建屋の重要な機器がある部屋の扉の水密化が図られていた。
福島第一原発の事故は、全交流電源喪失により原子炉建屋内への注水が出来なくなったことで起きたわけだが、その教訓から、電源が喪失しても注水が出来るように40台超の消防車を高台に配備している。又、緊急時の電源確保対策として、ガスタービン発電機車と高圧電源車が配備され、外部からの給電用送電線や、非常用ディーゼル発電機が災害で被害を受け電気が喪失しても、発電出来る設備が整っていた。これらの設備用の燃料の軽油タンクも5万リットル級3基が海抜35メートルの高台に埋設されていた。さらに、冷却用淡水を確保するため、2万立方メートルの巨大な貯水池を海抜45メートルの高台に建設した。
一方、福島第一原発事故の最大の被害は、放射性物質の大気中への拡散であった。建屋の水素爆発は厳に防がねばならないが、万が一、炉心が損傷し、粒子状放射性物質が放出されるような事態となった場合、重要なのはフィルタベントだ。放射性物質を除去し、大気への拡散を防ぐ装置で、原子力規制委員会による新規制基準に基づくものだ。今回、気体状放射性よう素も除去するフィルタを追加したことで、放射性物質の99.9%以上、よう素の98%以上が除去できるという。このフィルタベントは地上式だが、万が一に備え、地下式も追加する予定だ。
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