[Japan In-depth 編集部]【テレビ、新聞が失った真のジャーナリズムへの挑戦】~Japan In-depth創刊2周年記念シンポジウム~
Japan In-depth / 2015年11月29日 18時0分
講談社の瀬尾氏も、記事の質を高めることを念頭に、現代ビジネスで1日に公開する記事を去年の半数ほどに減らしたことを明かした。本数は減っても質の高い記事でPVは伸びている。「目の前のニュースを追いかけるのではなく、もっと深いところを掘っていく。」と方針を語った。
ハフィントンポストの高橋氏も、既存メディアでは「視聴率が取れない、遠くの出来事だ。」としてあまり報じられない国際ニュースを伝える意義を強調した。ネットワークを活かし、ヨーロッパや中東版と記事交換し翻訳することで、例えば先のパリでのテロに関しては、発生から5日間でハフポスト全15カ国版で150本以上の翻訳記事を掲載したという。
記事の質に関しては、安倍編集長も、「原発の現状について新聞を見てもほとんど分からない。軽減税率についても、本質的な議論にはならない。そしてテレビ、特に地上波では放送後の反響を考えると、危なくて取り上げられない話題も多い。」と既存メディアの問題点を指摘。「ネットでは冒険できる。」と改めてネットメディアの可能性を強調した。
そして、ネットメディアが抱える一番の課題とも言える「マネタイズ」についても議論された。
NewsPicksの佐々木氏は、「有料だからこそ、コミュニティが出来る」として課金することで記事の質も上がるとした。有料課金とブランディング広告という形は、スマホでの時代でも持続可能だとした。加えて新しいビジネスモデルとしてイギリスのThe Guardianのメンバーシップ制を紹介。Friend、Partner、Patronと3段階に分けて、読者が料金を支払い、媒体を支える仕組みを作っているという。
一方、無料配信のハフィントンポストの高橋氏は、セールス部門の新設を報告し、「だんだん広告もネットに寄ってきている。」との実感を示した。「去年は仕事の7割が広告集めだったが、編集の仕事に傾注できている。」とした。
またこれからのネットメディアの形として、「動画」の積極的な活用を進める声も各氏から上がった。
講談社の瀬尾氏は、記事に加えてインタビュー動画を公開することで、「インタビュー記事は発言を勝手に切り貼りしたもの」と批判されがちな既存メディアの弱点を「デジタルメディアだからこそ解消できる。」とした。
最後に、今後の展開について聞くと、講談社の瀬尾氏は、雑誌「COURRiER Japon (クーリエ・ジャポン)」を完全デジタル化するという新しい挑戦を成功させることをあげた。
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