[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート]【2016国際情勢を占う~日中・日米関係の今後~】〜産経新聞ワシントン駐在客員特派員古森義久氏に聞く〜
Japan In-depth / 2015年12月12日 11時0分
今年も残すところあとわずか、2015年は日本の今後を左右するであろう出来事が数多くあった。
今月15日には日本漢字能力検定協会による「2015年の漢字が発表されるが、3名各々が考える「今年の漢字」を発表してもらった。まず古森氏は決起の「起」とし、「安保法案可決・成立から、国を取り巻く国際情勢に日本はようやく重い腰を挙げたと言える」と述べた。サブMCの小林は「JIDで最も多く取り上げられた安保法案」から一文字を取って「安」、そして安倍編集長は今年の流行語大賞にもなった「爆買い」の「爆」とした。
国内のニュースで一番話題になった「安保法案の可決・成立」だが、衆参での議論は深まったとは言えない。「SEALDsを始めとする国民のデモも含めて、“何のための法案”なのかがはっきりしなかったのではないか」と安倍編集長が述べると、古森氏は「安保法案は国内に限った問題ではない。反対論の方がメリハリも良く、一見最もらしかったが、“平和を脅かすものが何なのか”という議論の出発点が述べられていなかった」とし、日本にとって如何に重大な問題なのかを説かず事勿れ主義に徹してしまった政権に問題があると述べた。
加えて安保法案反対派の論点がずれていた点を指摘し、「反対派が“戦争反対”と言う場合の戦争は“侵略戦争”である。今回の法案で論点とされるべきだったのは“自衛戦争”についてだった」とした。審議が紆余曲折した中で、中国は南シナ海での人口島における軍事基地拡大に手を伸ばした。今年、一方安保法案が成立した背景として古森氏は「中国の言動が横暴になるなかで、アメリカの対中戦略が変わった。アメリカにとって(中国に物理的に近い)日本との同盟が重要になった」と述べた。
安保法案成立に際し、解釈改憲が問題視されたが、古森氏は「憲法は色々な意味で改正するべきだが、改憲のためには、国民投票と同時に両院の3分の2の賛成が必要だ。改憲が失敗とならないように、慎重を期するべきだ」と改憲を急ぐべきではないとの考えを示した。
10月末、アメリカは「航行の自由作戦」を中国に対し始動した。これは「南シナ海は古来中国の領土である」と主張し人工島建設を進める中国への牽制として、中国が主張する領海12カイリの内側にアメリカが艦船を送るという作戦であった。そのアメリカの行動を、古森氏は「ペンタゴンのブリーフなど聞いていると、これは「航行の自由作戦」といったものではなく、もっとずっと後退したものだということがわかってきた。レーダーを切ってまっすぐ航行したのみの“Innocent Passage(無害通過)”と呼ばれる(形式的な)ものだった。だからまたやらねば、という話になっている。オバマ政権は良く言えば慎重、悪く言えば弱腰。中国に対する非常にネガティブな世論を汲み取って重い腰を上げることになった」と述べた。また氏は中国の脅威として、人民解放軍が中心となって行うサイバーテロにも触れ、アメリカが人民解放軍の幹部を起訴したことも述べた。
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