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日本企業はグローバル化出来るのか? その2~入交昭一郎氏インタビュー~ 

Japan In-depth / 2015年12月19日 11時0分

一方でアジアの若い経営者は自分の生活をもっと良くしたいという強烈な願望を持っていると言えるだろう。もっともアジアについては、日本企業もここ10年間で購買力や製造拠点としてのパワーを取り込むことについてはうまく経営出来ていると思うが。

-(安倍)日本から新しい技術を使った革新的なサービスが生まれにくいのはなぜか?

ベンチャーについては、「これで大儲けしてやろう」「これで世界を変えてやろう」という、例えばイーロン・マスクのような強欲なエネルギーを持った企業家が少ないのではないか?また、製造業をやっていた経験からすると、日本人はコンセプチュアルなもの海外から取り込んで、それを実用化や工業化することは得意なのだが、誰も考えていなかったようなことを始めるのが苦手だと感じる。だから日本人は海外で生まれた発想を基にした、アプリケーションの部分やサービスの組み合わせで存在感を示していくことは十分できるとも考えている。

あとは、教育の問題もあるだろう。よく言われる話だが、これまでは暗記力をつけることが教育の中心だったが、今後はクリエイティブな力をつけていかなければいけない。また欧米社会には、機会を見つけてはメッセージを発信することが人として存在感を示すために必要だという発想がある。これは日本人にはなじみがない習慣なのだが、個人だけでなく企業にも必要だ。

-(田中)製造業では海外への技術移転も大きな課題だがどう考えるか?

技術移転には様々な考え方があるが、過去日本企業は工場レベルでの技術移転には力を入れており、現地化する先々の文化に合わせて自社の方法論をカスタマイズしてきた。その方がアメリカのようにアメリカ国内でのやり方を全世界に適用するよりもアウトプットの質が高いことは間違いない。

しかし、カスタマイズする際に何を変えて何を変えないかと言うのは、分かっていない場合が多い。例えば「品質の良い物を提供するのだ」というコンセプチュアルな所は変えてはいけないが、それ以外のところは実際に経験値を積み上げてみなければ分からない。実際の現場で現地の人と対話し、お互いの妥協点を見つけることが重要になってくる。

更に、国内の技術をどこまで移転するかというのは簡単に決められない問題だ。こちらは企業機密だと思っていても意外とそうでもないケースもある。また移転範囲をあまりにも狭めると、海外の人材を使うという海外移転のメリットが薄れてしまう。

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