[Ulala]【女性のホームレスが増える国、日本】~特集「2016年を占う!」女性の貧困~
Japan In-depth / 2015年12月26日 23時0分
2015年は、女性の貧困について取り上げられることが多かった。「女性が輝く社会」を掲げ、女性の社会進出を促すのはとてもいいことだが、社会システムや意識の変わらない部分が、女性の貧困を招く要因となっている。
そこで、2016年の大胆予想は、
「このままでは、更に女性のホームレスが増加する。」
厚生省の調査によると、2012年における日本の女性のホームレスの割合は、3.5%~4%。おなじく2012年の調査では、フランスの女性のホームレスは38%であることを考えれば極めて低い数字だ。
しかし女性ホームレスの数が多いフランスを始めとする欧米でも、1970年代にはほとんど居なかったのも事実。近年になって増えたのは、不況ももちろんあるが、「女性の社会進出」に関連があるのではないかとも言われている。
欧米では70年代頃から女性が労働者として社会進出が進み、世帯主として自立する、または自立できる状況が作り上げられてきた。自立すると言うことは、配偶者に関係なく自分の人生を生きることができるということで、男性に左右されない人生を選択できる権利として、女性が社会進出することを望んだのだ。
それにより「家庭」に対する意識も大きく変化し、離婚も増え、結婚とは不安定な制度になりつつある。フランスでは1999年にPACS(仏:Pacte Civil de Solidarité:民事連帯契約」という、パートナーとの権利と義務の関係を決めた契約制度もできた。PACSは別れる時も一方からの通告のみでよく、結婚のようにパートナーを保護すると言う義務を伴わない。経済的に自立した2人の間で交わされることが前提になっている。
このような「家庭」に対する考え方の変化により、女性は自由な人生を送れると同時に、パートナーと別れたり失業したりすれば、ホームレスになるリスクも高くなったのだ。
一方、欧米で女性達が社会進出して自立していく中、日本では社会福祉・社会保障の制度、人々の女性への意識が「扶養」を標準的なものとして維持してきた。女性は「まず父親の扶養、結婚して夫の扶養、夫が死んだら年金か子どもの扶養に入る」。こういったモデルを一般的とし、それに合わせてさまざまな制度も作られていった。
1950年代から1970年代にかけての高度経済成長期には、「夫は仕事に出かけ、妻は育児・家事・買物に専念して家庭を作る」といった核家族のイメージが一般的で、企業の賃金体系も妻子を養う世代の男性に比較的手厚くなっていった。家庭の収入増と安定化は、「専業主婦」と「仕事をする男性」と言う性別役割分業を定着させていく。こういった役割分業が行われた原因の一つは日本の工業化かもしれない。基本的に第二次産業ではブルーカラーが主な働き手で、女性がそれに参加することは、事実上困難を伴っていた事情もある。
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