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[林信吾]【縄文回帰元年であれかし その1】~特集「2016年を占う!」日本史から学ぶ~

Japan In-depth / 2015年12月30日 23時0分

今思えば、西洋コンプレックスもここに極まれり、という話なのだが、当時は結構、感心して読んだものだ。皇帝の「文化的な」生活を労働力として支えた、無数の奴隷の存在など、まともに考えていなかったということだろう。

これに対して、自然と共存しながら、その恵みで自給自足の生活を成立させていた縄文時代の人たちは、たしかに巨大建造物や金銀財宝の類は残さなかった。そもそも貨幣経済など知らなかった。しかし、いや、そうであったからこそ、もしかしてそこには、大きな格差も侵略戦争もない、平和な共同体があり得たのではないだろうか。

いや、格差や戦争が本当に絶無であったとは、さすがに考えにくいけれども、日本列島の、生産性の高い自然環境を上手に生かしたなら、奴隷労働や侵略戦争は、そもそも必要性が薄いということは、充分に考えられることであるし、縄文時代の遺跡から大戦争の形跡が見て取れないのは、証拠のひとつと見なしてよいのではないか。

世界は今、自然環境のこれ以上の破壊や、格差による社会不安の増大は、人類の命取りになりかねないと、ようやく気づき始めた。かつて1万年以上におよぶ「持続可能な社会」を築いた日本人が、その精神を取り戻すことを通じて、地球環境を守りつつ文化的な生活を手に入れる、真のトップランナーの座に着くことはできないものか。

不可能ではない、と私は思うのである。

(【縄文回帰元年であれかし その2】~特集「2016年を占う」日本史から学ぶ~ へ続く。全2回)

※トップ画像:出典、新潟県立歴史博物館HP/縄文文化を探る

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