【納税者も驚愕、陸自衛生学校体育館狂騒曲 その1】~「戦争ごっこ」レベルの第一線救護~
Japan In-depth / 2016年1月8日 7時0分
今年は安保法制をめぐり、国会では激論が戦わされた。国会前ではこれに反対する大規模なデモも発生し、国民的な議論を呼んだ。8月30日に安保法案に反対する集会で、国会正門前が約3万もの人で埋め尽くされたがその約1ヶ月後、9月19日には平和安全法制関連2法が成立した。
これら法案の成立で自衛隊はより実戦的、かつ危険な任務につくこととなった。安保法案施行後、自衛隊は「死ぬ危険性のある職業」になる。「駆け付け警護」が開始されれば、戦死者・戦傷者が出るのは避けられない。手足や視力を失う隊員もでるだろう。
ひとたび自衛隊員が戦闘により戦死・戦傷したならば、自衛隊の治療・後送システム、戦闘外傷に関する装備の整備・教育・訓練・研究が適切に行われていたのかを、厳しく国民に問われるであろうことは想像に難くない。
この法案は与党の圧倒的な議席数を考えればその内容の是非はともかく成立するのが当然と見るべきであり、防衛省としては法案成立を前提に準備を進めるべきだった。特に陸上戦闘を担う陸自は一番の当事者といってよい。
だが現状は自衛隊が負傷した隊員の命を救う衛生の体制は全くできていない。殆ど手付かずだといっていい。実戦を想定していないし、戦死傷者が出る現実を直視していない。率直に申し上げて「戦争ごっこ」レベルであるといっても過言ではない。
このような態勢で実戦によって負傷者が出れば、NATO諸国の軍隊に比べて一桁多い隊員が命や手足を失う可能性が非常に高い。しかも、戦闘外傷に適切に対応できないことが露呈すれば、日本国の国際的な信用まで失うことになる。
しかしこのような現状を改革する気運は極めて低い。それどころか防衛省や自衛隊の衛生関係者は未だに現実から目をそむけて、ひたすら仕事から逃げまわっている。特に陸自の衛生の教育と研究の中核機関である衛生学校は当事者意識と危機感が希薄だ。その証拠に、本分を果たすことをまじめに取り組むことを怠り、その間に自作自演の「コンサートごっこ」に興じていたのだ。
防衛省は、衛生関連の改革を行うとして「防衛省・自衛隊の第一線救護における的確な救命に関する検討会」を開催している。だがこれは形ばかりでやる気が感じられない。このため座長である佐々木勝都立広尾病院院長は「あまりにお粗末な自衛隊の医療体制」という論文を件のコンサートの2日前、9月26日に「月刊WILL」に発表し、特に陸自の衛生の現状を以下のように手厳しく批判した。
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