[細川珠生]【2016年の重大テーマは憲法改正】~杏林大学名誉教授田久保忠衛氏に聞く~
Japan In-depth / 2016年1月8日 12時0分
2016年最初の放送は、杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏を迎え、今年の国際政治の展望を聞いた。
2015年の政治の一番の話題といえば、集団的自衛権行使を容認するための安保法制が成立したことだろう。去年は安保の一年だったと言えるが、今年はどうなるのだろうか。
田久保氏は、「安保改正法案が本当に活きるかどうかは、国際情勢がどのようになるかによって決まる。」と述べ、「大きな問題は、すぐ隣の中国が膨張主義をとっていること。南シナ海で人工島を作り、12海里内の領海だと言って、領土を拡大してくる。」と中国の出方が大きく影響することを示唆した。
さらに中国は大気汚染、所得格差、汚職など様々な問題を抱えている。「これに対して安保法制だけで対応できるかというと、これはちょっと難しいかなという気がする。」と田久保氏は懸念を示した。
現行の憲法九条には、日本は戦力を持ってはいけないと明記されている。つまり、今の自衛隊は戦力ではないということだ。実際に政府答弁では、自衛隊は国内的には戦力ではないが、国際的には軍隊と見なされる、というちぐはぐな議論が通っている。アメリカの占領下で制定された憲法だが、アメリカの保守派の中にはこの憲法が間違いだという人がいる。ニクソン元大統領も、演説の中で「日本人はこれを改正すべきだ。」という意見を述べている。
「70年近くこの憲法を続けてきて、これを改めるか改めないというのはアメリカがどうのこうのというより、日本人の精神に関わるのではないか。」と田久保氏は述べ、憲法改正を推進すべきだという考えを強調した。
しかし、「九条(改正)については、国民にとってハードルが高い。」と細川氏は述べ、当面は緊急事態条項を入れて対処すべきだと述べた。田久保氏もそれに同意し、「国民の生命・財産を守るために、ある一定の条件の下、ある期間に限って総理大臣に大きな権限を与える。そのための条項がないのは、近代先進国、発展途上国も含め、日本だけ。何故これをやらないのか私にはわからない。」と述べた。
細川氏は、それが進まない理由として、「日本人は危機に無関心。」であることを指摘、中東の石油は南沙諸島を通ってやってくることなど、世界各国の動きが毎日の生活に直結していることを日本国民はもっと意識すべきだと述べた。
今年は7月に参院選が行われる。国民は何を重視して判断すれば良いのか。田久保氏は「参院選の重要な点は、私の立場から言うと憲法改正だと思う。」と述べた。国際情勢は変わり、中国は膨張している。これに対抗すべき大国アメリカのオバマ政権は内向きでトラブルを避けようとしている。
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