[岩田太郎]【拉致被害者全員返せば米朝平和条約は可能】~一発逆転のアジア外交 その2~
Japan In-depth / 2016年1月17日 18時0分
日本との和解に関しては、拉致被害者のご家族はとても納得できまいが、さらわれた家族全員の帰国で満足いただき、工作員の辛光洙をはじめ、北朝鮮拉致加害者の処罰と、慰安婦を含む歴史問題を交換条件で「チャラ」にする。韓国と同じく開発援助金として、北朝鮮に相当額の一時金を支給し、同国経済を発展させて対中・対韓戦略支出とみなす。韓国と違い、歴史問題は「立法・行政・司法の各府、その他あらゆる官民分野でも不可逆かつ完全に解決」と文書に明記させる。
米朝和解プロセスにおいては、日本が「宗主国」の米国を誘導する。宗主国様は衰退し始め、最近お疲れのご様子である。米国のアイデアの泉は枯れている。忠実な子分として、参謀役を申し出よう。そのなかで、日本が自らアジア外交を考え、企画し、責任を取る体制にもっていき、従米体制の終わりの始まりとする。
以上の米朝を利用した日本の対中・対韓戦略の提言は、冷徹過ぎると思われるかも知れない。だが、米朝が国民に対する収奪政治・人権抑圧という基本的価値観を共有し、本質的な戦略面で合致していることを読み切った、現実的なものだ。
北朝鮮は、強制収容所・拷問・言論の自由の抑圧などで非難を受け、米国は「国際刑事裁判所(ICC)に付託を」と唱えているが、翻ってグアンタナモ強制収容所や、そこでの拷問を見るとよい。また、米国官憲はマリファナ所持や、養育費や駐車違反の罰金不払いなどの微罪で、支払えない貧しい黒人をどんどん収監し、世界一の収監人口を誇る。そのおかげで米監獄産業はますます繁盛している。警察に従わない黒人は丸腰でも即射殺で、警官は無罪放免だ。米朝は「同じ穴のムジナ」であり、中国の軍事的台頭を望まない両国の平和条約締結は、不可能ではない。そこに、仲介者としての日本のアジア外交の活路があるのだ。
(この記事は【日米との和解で北朝鮮の核を中国に向けさせよ】~一発逆転のアジア外交 その1~
の続き。本シリーズ全2回)
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