[安倍宏行]【雪に弱い東京、新交通アプリ待望論】~働き方の見直しも~
Japan In-depth / 2016年1月19日 18時0分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
18日の東京都心部の雪による交通の混乱は毎度のこととはいえ、このICTの時代において、何故このような事態が毎回起きるのか、考えさせられることが多かった。
まず、公共交通機関からユーザーへの情報提供の問題だ。筆者がいつも使っている私鉄の駅は午前中入場規制を行ったため、改札から駅構内、さらに隣接する商業施設のオープンスペースにまで数百メートルの行列が出来、大混乱が続いた。その間、駅構内に閉じ込められた人たちは、ただひたすら列に並んで身動きが取れない、という難行苦行を強いられた。
しかし、地下を走る私鉄と並行して、地表では同じ私鉄系のバスが何本も走っており、そちらの方がよほど早く都心に到達できたのだが、駅で列に並んでいる人は知る由もなかった。せっかく何時間も並んでいるのだし、バスもおそらくものすごい混雑でどうせ乗れないだろうし、道も大渋滞だろうから鉄道の方が早い、と判断し、駅構内から動かない選択をしたものと思われる。
当然筆者もそう思いつつ駅に向かったのだが、駅に着く前にたまたま来たバスにすぐ乗れたので、それを駅構内で並んでいる人たちに知らせようと思い、駅名をハッシュタグにして、バスの方がより良い選択であることをTweetした。しかし、どれだけの人に届いたのかはわからない。夕方のテレビニュースで、筆者が都心についた時間(正午過ぎ)、まだその駅構内に人が滞留していた映像が流れていたのを見ると、おそらく人々は辛抱強く入場規制が解かれるのを待っていたに違いない。
こうした事態を顧みると何かおかしい、と気づく。本来、適時適切な情報提供は鉄道会社が行うべきだろう。アプリなどを通じてリアルタイムに人々に知らせることで少しでも混乱を防ぐことが出来たはずだ。それなのに、JR含め、各私鉄や地下鉄各社は、使い勝手の良い交通情報を提供するアプリを未だ提供していない。
アメリカでは既にすべての交通手段で最適なルートをユーザーに提供するアプリが実用化されている。どの交通機関を使えば目的地に最短で到着できるかをリアルタイムで提供するサービスだ。日本でもオープンデータを活用し、こうしたサービスの立ち上げが急務だ。首都圏で災害が起きたときには必須だろうと思われる。渋滞を減らし、人々の移動のロスを低減させることは、社会全体の生産性を上げることに繋がる。
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