[安倍宏行]【BuzzFeedが新聞・テレビを駆逐する】~日本版、ついにローンチ~
Japan In-depth / 2016年1月21日 23時0分
2016年の年明け、ウェブメディア界最大のニュースがこれだろう。「BuzzFeed(バズフィード)日本版」が1月19日にローンチした。
まず、コンテンツ=記事の中身だが、2006年米国で創刊して以来、バズフィード本体は、最初、動物ネタなど「面白画像・動画」や、読者の興味を引くやわらかい話題中心でスタート。しかし、読者が増えるにしたがって、硬派の記事も増やしていき、2012年には、オバマ大統領へのインタビューや大統領自身が出演するビデオ(医療保険加入の告知)を制作するまでに成長している。記者は、200名超という。
日本版もご多聞に漏れず、自分たちで記事を制作する。その為に朝日新聞から移籍した古田大輔氏を編集長に、毎日新聞などからも記者が参加している。「シリアスなものからシュールなものまで」なんでも扱う、という方針で、既に石戸諭記者の東京電力福島第一原発のルポが掲載された。中身は目新しいものではないが、写真を多用し、新聞のように堅苦しい記事ではなく、読み物風にサクサク読めるのはやはりウェブメディアならではだ。
こうした硬派な記事をどんどんアップしていくぞ、という意気込みの表れとして評価したい。一方で編集部は、毎日20本程度記事をアップしていく、としているが、すべてをオリジナル記事にしていくのはかなり大変そうだ。特に取材が必要なネタは一人の記者がかかりきりになるだろうし、一方でバズる“ヤワネタ”も制作しなくてはならない。マンパワーをどう確保するかが、今後の課題だろう。
とはいっても、優秀な記者(制作者)はそう簡単には集まらないし、コストもかかる。スターティングメンバ―として、ハフィントンポスト日本版からスタッフを引っこ抜いたのは話題となったが、今後も優秀な人材の採り合いが過熱するだろう。とはいえ、高給が保証されているレガシーメディア(新聞、テレビ)からのジョブ・ハンティングは期待薄で、おそらくは他のウェブメディアなどからの流入が主になるに違いない。いずれにしてもコストと記事のクオリティというトレードオフの関係をどうマネージするかが問われることになる。
さて収入源だが、バズフィード日本版は、バナー広告を置かず、PVを追わないで記事広告を収入源とするとしている。ネット上にSNSを駆使して拡散する(=Buzzバズらせる)手法で、アメリカでもこれで成功した。NewsPicksなどの課金型モデルでもない。記事広告をめぐっては近年、広告主を表示しない、いわゆる“ノンクレ”記事に対する風当たりは強く、最近ではどのウェブメディアも“sponsored by ~:~社の広告”と記事に明記するのが当たり前になっている。
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