1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

【グローバル経済の「新しいノーマル」】~日本企業の活動こそ国際金融市場安定の材料に~

Japan In-depth / 2016年1月22日 18時12分

さらに財政面では、全体としての財政赤字は対名目GDP比でマイナス2%程度とまだ小さいが、地方政府の過剰債務が問題になっており、その処理も進めなければならない。こうした状況の下で、政府発表のマクロ統計に対する信頼性が必ずしも高くなく、実態が正確に分からないことも不確実要因となっている。


中国経済の構造的減速が、原油価格を始めとする一次産品価格押し下げの背景の一つとなっている。一次産品産価格の下落は、その産出国の経済を下押しており、ロシア、ブラジルなどでは2年連続のマイナス成長となりそうだ。


こういった展開は以前から認識されていたことなのだが、ここへ来てにわかに国際金融市場が深刻に受け止めるようになったということなのであろう。先進国経済は上向き、逆に新興国経済は下向きとは言え、それぞれを括ってみれば、成長率はまだ新興国経済の方が高い。したがって、ビジネスの拡大スピードを重視するなら、これからも新興国市場が重要になるが、新興国経済がこれまでのように成長しないとなると、同じペースで利益をあげるのはむずかしい。それでは株式は買えない。


では上向きの先進国経済に企業活動の軸足を動かせるか。売ろうとする製品・サービスの内容は、先進国と新興国とではかなり違う。したがって、単にセールスの焦点を地理的に動かせば良いという話ではなく、その軸足の変更には一定の経営体制の刷新も必要になる。その過程ではなかなか収益は伸びない。やはり株式は買えない。


これまで先進国中央銀行による超金融緩和で膨大な流動性が供給されており、その運用はしなくてはいけないので、株式が買いでないなら、とりあえず別の安全なところへ移しておこうということになる。それが今起きていることだ。光栄なことに、日本円、日本国債はまだ安全だと認識されているようだ。


ここから先は「新しいノーマル」の中味の確認と、「旧いノーマル」を前提に行ってしまった投資、即ち不良債権の処理が並行する。相対的に低成長ながらよりしっかりしている先進国経済と、相対的に高成長ながら中成長に向け構造的に成長率をシフトダウンさせる新興国経済。そういうグローバル経済の「新しいノーマル」の姿がよりはっきりしてくれば、前向きな企業活動が、不良債権処理の後ろ向きの力を抑え、国際金融市場も落ち着きを取り戻すと期待される。


因みに日本経済は、米国同様、不良債権処理の重荷を背負っていない。また、企業のキャッシュフローもここ数年で改善しており、前向きのアクションを取り得る環境にある。ここからの日本企業の活動こそが国際金融市場安定の材料になればいいと心から思う。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください