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補正予算が第2の防衛予算に~政権批判しない野党とメディア~

Japan In-depth / 2016年1月25日 7時0分

これらの多くは概算要求で要求され、政府予算では落とされたものだ。だが本来の補正予算で許されているのは例えば原油が高騰したり、為替が大幅に変動して燃料費が高騰したり、当初予定した燃料費では賄えない場合とか、東南アジアで大災害が発生、派遣された自衛官の手当を含むその救援に使用した費用などが発生した場合など、予測できなかった費用を賄うものである。また先の東日本大震災では空自の松島基地でF-2戦闘機や多数の機材が被災によって失われたが、これらの場合に使用されるものだ。

だが現状は補正予算が実質的に第二の防衛予算となっている。補正予算での「買い物」は国会では「防衛予算」として審議されない。詳しくは筆者の以下記事を参照されたい。

【防衛補正予算1966億円の買い物リストを検証】

本年度の補正予算1966億円中、本来の意味での補正予算と認められるのは544億円だ。つまり防衛費の補正予算の本来の意味での補正予算は38%に過ぎない。残る62パーセント、1422億円は本来、来年度の防衛省予算の本予算で要求するべきものだ。この1422億円を来年度の政府案の防衛費と合わせるなら、来年度の防衛予算は5兆0400億円ではなく、2パーセント増えて、約5兆1800億円となる。

人件費・糧食費は予算の防衛費の約4割以上だ。更に燃料費や米軍への費用負担なども必要だ。これらの費用は大きく変えられない。これらの費用を除いた予算、特に装備調達費の総額からすれば、この約1400億円はかなり大きなパーセンテージの金額といえる。しかも、補正予算で調達される「買い物」から輸入品が排除され、ほとんどが国産品である。これは露骨なバラマキだ。

防衛省の本予算では、ティルトローター機オスプレイ、大型無人偵察機グローバルホーク、水陸両用装甲車AAV7など米国製兵器が気前よく買われている。これらは実は殆どまともにその必要性や運用が検討されていない。しかも今後の維持費が極めて高く、毎年の固定費用となって防衛費を圧迫することになるが、それも殆ど考慮されていない。

当然ながらこれらの装備の調達で多くの防衛予算が使用されている。その分国内からの調達は減らされている。本予算で国内調達が削られた分を、補正予算で補填しているように見られる。つまりは国内産業向けのバラマキとなっている。カローラに乗っていたサラリーマンが見えを張ってBMWの7シリーズを購入したので家計が足りず、親からカネを借りたり、サラ金でカネを借りて家賃やら子供の給食費を払ったりするようなものだ。こんなことで国家予算の規律が守れるのだろうか。また補正予算と、本予算を別途審議してまともな予算精査が可能なのだろうか。

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