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日韓合意の報道は慎重に~日本報道検証機構代表 楊井人文氏~

Japan In-depth / 2016年1月25日 23時0分

日韓合意の報道は慎重に~日本報道検証機構代表 楊井人文氏~

今回の放送は、2016年メディアが注目するであろう2つのトピック、夏の参議院議員選挙と憲法改正問題と、それに慰安婦問題に関する日韓合意について議論した。

毎日新聞は「改憲へ、緊急事態条項」と元旦の一面トップで安倍政権が夏の参院選後に緊急事態条項を追加する憲法改正を目指す方針を固めたと報じた。安倍首相は具体的な憲法改正の方針をまだ明らかにしていないが、新聞各社が年頭から社説で緊急事態条項を念頭においた改憲に様々な形で言及したことを楊井氏は指摘した。

毎日新聞は、憲法改正を頭から否定しないものの、具体的な改正方針を説明しないまま発議に必要な多数派形成を目指すことに警戒を示した。朝日新聞は、災害対策基本法があるのだから緊急事態条項を新たに書き込む必要がどれだけあるのか疑問と指摘した。

他方、読売新聞は緊急事態条項を真剣に検討すべきと主張した上で、安倍政権下での改憲を阻止する構えの岡田克也・民主党代表を名指しで繰り返し批判した。産経新聞は、緊急事態条項を定めるのは喫緊の課題と早くも賛成論を鮮明にした。

「(緊急事態条項についてもこれだけ意見が別れるとなると)、9条改正の話題になるともっと複雑になりそうだ」とサブMCのAyaが懸念を示した。楊井氏はイデオロギーではなく、具体的な条文や事実をベースに冷静な議論が必要との考えを示した。

今夏の参議院で焦点が集まっているのは、改憲に前向きな勢力が改憲の発議に必要な条件(3分の2以上の議席)を確保できるかどうかだが、もうひとつの注目点は、今回選挙権を得た18・19歳が選挙に行くかどうかだ。18・19歳の若者は240万人いるとされている。この層が投票に向き合うと政治を大きく動かすことになるのは間違いないが、新聞をほとんど読まない層とみられる。政治家はウェブサイトや討論会などで、情報を発信している。安倍編集長は「ただ待っているのではなく、自分たちで情報を取りに行くしかない」と若者が政治に関心を持つことが大事だとの見方を示した。

もう一つの大きなニュースである慰安婦問題の日韓合意について、楊井氏は各紙が「“合意の前提”部分に正確に焦点を当てて報道していない」と指摘した。今回の合意は“最終的、不可逆的解決”とした点が画期的だが、“無条件”の合意ではない。その前提が「日本政府の予算による新財団への10億円の拠出」、そして「日韓共同の慰安婦支援事業」である。

ところが、朝日新聞が12月30日の一面トップで「複数の日本政府関係者によると、少女像を移転することが財団への拠出の前提になっていることは、韓国と内々に確認している」と報じた。韓国はこれを「完全な捏造」と強く非難した。そもそも、日韓合意の「前提」には、「少女像の移転」は含まれていない。朝日新聞が報道した「韓国側の内諾」は、日本政府関係者の「願望」にすぎない可能性があり、「内諾」と報道するなら「複数の日本政府関係者」のソースだけに記事化するのではなく、韓国政府関係者の裏付けを取るべきだった、と楊井氏は指摘した。

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