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ジャカルタ・テロは「始まりの始まり」か〜“ISのアジア進出懸念”が払しょく出来ぬ5つの理由〜

Japan In-depth / 2016年1月28日 18時0分

第二にJIの創始者で精神的指導者アブ・バカル・バシル師が健在なことだ。若者たちに今なお強い影響力を有し、獄中からIS支持や聖戦参加を呼びかけている。実際にイラクやシリアなど中東へ渡った若者は800人を超え、うち約240人は帰国しているという。訓練を受けた彼らの中から今度は勝手知るホームグラウンドで活動を目論む者が出て来ても不思議ではない。加えてバシル以外のイスラム過激派指導者もいる。やはり収監中で今回の事件の黒幕とされるアマン・アブドゥルラフマン師もその一人。服役中でも堂々と扇動、アピールが出来るのだから厄介だ。

第三に、だからこそISもインドネシアに照準を定める。昨年末、豪州紙オーストラリアンはISがインドネシアを「遠方のカリフ」に目論んでいるとの同国司法長官の警告を報じた。カリフは預言者ムハンマドの後継者の意味で、周知のようにISの前身ISISは2014年6月にカリフ制国家「イスラム国」の樹立と指導者アブバクル・バグダディのカリフ就任を宣言し、以後ISの猛威が中東を席巻した。

豪州はバリ島ディスコ爆破テロで多数の犠牲者を出し、隣国インドネシアは安全保障上極めて重要なだけに、この「遠方のカリフ」情報も一笑に伏せない。もちろんISの企みが実現するかどうかは別問題だとしても。

第四に市民派ジョコ大統領の対テロ手腕が未知数な点も懸念される。軍生え抜きのユドヨノ前大統領は軍と警察を掌握しテロ対策に実効があった。ジョコ大統領の軍・警察の掌握如何にテロ対策の成否がかかっている。

最後に地域協力、すなわちASEAN(東南アジア諸国連合)のネットワーク強化も課題だ。昨年末、ASEAN共同体が発足した。しかし実態は経済共同体であり、政治安全保障共同体の歩みは遅々としている。感染症、移民などとともにテロも国境を越える問題として早くから位置づけられてきたが、スローガンの域を出なかった。ようやく問題が現実味を帯びてきたとも言える。

ところで今回の事件は日本にとっても早期警戒警報だ。今年は伊勢・志摩サミットだけでなく、外国人訪日客のさらなる増加が予想されている。東南アジアからの訪日観光客のビザ発給が大幅に緩和されたことが大きく、インドネシアやタイ、マレーシアなどはノービザだ。難民に紛れたISメンバーを入国させてしまったEU諸国の轍を絶対に踏まぬ対策が求められる。テロ事件が起きない安心・安全な日本こそ最高のおもてなしかもしれない。

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