米大統領予備選挙開始~米国のリーダーはどう決まる? その1~
Japan In-depth / 2016年2月1日 23時0分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
2月1日からいよいよアメリカ大統領選が佳境に入る。各州で共和党、民主党それぞれが支持する大統領候補を選ぶ「プライマリー(予備選挙)」(注1)というプロセスが始まるのだ。夏に行われる党大会に向けてXデーは次のようになる。
2月1日 アイオワ州コーカス
2月9日 ニューハンプシャー州プライマリー
3月1日 スーパー・チューズデイ
(マサチューセッツ、テキサス、バーモント、コロラド、ジョージア、バージニア、オクラホマ、ミネソタ、アラバマ、アラスカ、アーカンソー、テネシー州)
つまり来月にはどの候補が共和党、民主党、それぞれの大統領選に出馬するのか、かなり明確になっていることだろう。
米国50州のうち真っ先に候補者を決め、選挙戦の幸先を占うのは、人口300万人のアイオワ州。土地柄は保守で、信心深いクリスチャンの投票者が多いとされる。ゆえに共和、民主の両党の大統領候補はいかに自分が道徳的に優れている人物かをアピールしてこの地に臨む。
具体的な政策では人工中絶や同性婚に反対、移民政策は必要なく、オバマケアと呼ばれる国民健康保険改正は廃止という立場が有利だ。
「コーカス(党員集会)」という選出法も独特で、投票所でそれぞれの支持者に票を入れるのではなく、細かい区に分かれて市民ホールなどの会場に集まり、各候補者の支持者ごとに集まる。まだ支持候補者を決めていない人は各テーブルを回り、話を聞く。一端来場者で投票した後、支持票が全体の15%に満たない者は落とし、落とされた候補の支持者はまた他の支持者テーブルを回るというプロセスを繰り返す。いずれかの候補の支持者が過半数を上回ったところで各区から結果を報告して決定する。
そのため、大統領選候補者は地道に選挙活動をし、自分のために他の投票者を説得してくれる弁舌の立つ支持者をどれだけ確保できるかが決め手となる。
共和党では、おそらくドナルド・トランプがアイオワ州で勝つだろう。テキサス州上院議員のテッド・クルーズはアイオワ向けというか、保守派の論客として追い上げていたが、プライマリー直前のディベートでトランプがわざと欠席、そのため出席した候補から移民対策で一貫性がないことをいっせいに攻撃され、弱さが露呈してしまった。
民主党は社会主義を堂々と掲げるバーモント州上院議員、バーニー・サンダースがヒラリー・クリントンを負かすとの予測もあるが、アイオワの保守派と社会主義的な考えは相容れないところが多すぎるし、サンダース候補支持の機運を支えている若い世代が、実際にこの古臭いコーカスで議論するために出席するかが心もとないので、やはりクリントンが勝利する可能性が高いと見るべきだろう。
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