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女性が働き続ける為の環境整備、進めよ~社会全体の意識の向上が不可欠~

Japan In-depth / 2016年2月1日 11時34分

その中でも月経痛が毎月「ひどい」という女性はおよそ28.6%、月経までの約2週間の間に起こる月経症候群は女性の約5〜8割に起こると言われている。月のおよそ3分の4は、何かしらの身体的、精神的不調に悩まされていることになる。

多くの女性は、「生理痛はあって当たり前、我慢するのが前提」と思春期から刷り込まれている、と宋氏は指摘。しかし、低用量ピルを飲むと月経痛が軽減され、データによると「産婦人科女医はかなりの割合で低用量ピルを飲んでいる」そうだ。ただし、薬を服用すると副作用が出る等といった不安がどうしても大きく、なかなか日本で普及していないのが現状だ。

しかし、月経痛の異常の背後には、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている場合もあるので、ぜひ産婦人科で検査を受けて欲しいと宋氏は訴えた。また、一般的に不妊や子宮頸癌などの知識不足も問題だと強調した。

女性のヘルスケアを取り上げる媒体は増えているが、「正しい情報」は「面白くない、売れない、読まれない」ため、多くの誤報が飛び交っているという。「いわゆる商業媒体やネットのサイトでPVを集めようとしているものはだいぶ(情報を)煽っている」とし、宋氏は情報源をどこから入手するか、気をつけねばならないと指摘した。又、女性に正しい知識を持ってもらうために、企業による健康セミナーの開催などを提案した。

こうした中、企業はどのような取り組みを行っているだろうか。日本航空健康保険組合の事務局長、浦井典子氏と、ワコール健康保険組合健康開発チーム課長の須山有輝子氏が登壇し、それぞれの会社の取り組みの実例を発表した。浦井氏は、「JALなでしこラボ」を紹介した。目指すものは、女性活躍推進の目標数値・行動計画の取りまとめを厚生労働省のサイトなどに掲載と社外への公表だ。

具体的には、女性の配置先拡大、在宅勤務制度と勤務時間帯選択制度など柔軟な働き方の導入、女性社員の動機づけ・育成強化、女性活躍を促進していく上で必要な施策の調査や社内研究プロジェクト等である。また、男性社員も参加できるセミナーの実施、全額補助で受けられる婦人科検診など、女性に魅力ある企画を実施している。

一方、ワコール健康保険組合の須山有輝子氏は、2009年より始めた乳がん検診が、現在では子宮がん検診も含めた定期健康診断とセットで受けられるようになったことを紹介した。こうした中、女性社員にアンケートを取った結果、昨年度、乳がん検診を受けなかった理由として、「忙しい」「面倒」といった答えが多く見られた為、就業時間内にバス検診車を派遣しているという。

また、検診後のフォローや社員の心のケアなども充実させており、がん検診の結果、要精密検査、再検査と診断された社員の不安軽減の対策として、3回に渡り面談、メール、電話などで直接社員に連絡し、受診勧奨を行っている。

社員の健康面は、メンタルヘルスにも重点を置き、新入社員の個別メンタルチェックや、異動時の健康管理担当スタッフからの連絡など、相談窓口も設置し、常時相談しやすい環境の整備も行っている。

社会で活躍する女性が年々増える日本。彼女らがイキイキと働けるダイバーシティ社会を築いて行くには、女性だけではなく男性も含め、すでに働いている社会人、これから社会人となる若者たち等、国民レベルによる意識の向上が、行政や企業を変えていく鍵となるだろう。

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