橋下後の維新と大阪自民の苦境~大阪・泉州の町長選に見る~
Japan In-depth / 2016年2月5日 18時0分
山口敦(産經新聞大阪本社 社会部次長)
「Osaka In-depth」
「維新には勝たせとけばええんですわ。風がやんだら、受け皿は自民しかありません。そしたら、大阪の自民は、そのまま丸儲けなんやから」
平成23年4月の統一地方選を前に、当時、自民大阪府連会長だった谷川秀善元参院幹事長が、真顔でそう話したことがあった。大阪府知事だった橋下徹氏らが大阪都構想を掲げて結成した地域政党「大阪維新の会」が、大阪府議選、大阪市議選、堺市議選の3つの選挙に大量に候補者を擁立しようとしていた頃だ。
谷川氏の「予言」には、理由がある。
「橋下党」と言われてきた大阪維新だが、そもそも平成21年4月、自民府議団から、現知事の松井一郎氏ら6人が離脱し、新会派「自由民主党・維新の会」を結成したのが始まりだ。
自民の府議6人からスタートした政治勢力は、その後、橋下氏の強烈な個性に引きずられて急成長し、24年12月の衆院選では国政第3党にまで躍進したが、幹部クラスの多くは自民とは切っても切れない関係にある。
「予言」から約5年。大阪維新と大阪の自民が、安倍政権との親密度を競い合う現状を見ると、自民全体として考えれば、谷川氏の予測はほとんどそのまま的中しているかのように見える。ただ、「大阪の自民」に限ると、〝丸儲け〟にはほど遠い、苦境が続いている。
衆院選との同日選になるとささやかれる今夏の参院選を前に、今年1月、大阪都心部から南におよそ35キロ、関西国際空港がある大阪府泉佐野市に隣接する熊取町で行われた町長選が、関係筋の注目を集めた。
泉州に位置する人口約4万4千人の町の首長選にかつてない注目が集まったのは、橋下氏が昨年12月に政治家を引退した後の大阪維新の趨勢を占う、初めての選挙だったからだ。
選挙戦は、町制施行以来最多となる5人が立候補する激戦となった。大阪維新が元府議を擁立したほか、自民も府内の首長選としては、45年ぶりとなる公認候補を擁立し、勝負に出た。
その結果は…。
得票数 得票率
大阪維新の会公認の新人の元府議 藤原敏司氏(63) 5141票(30.54%)
無所属新人で元シンクタンク研究員 大屋智浩氏(36) 3553票(21.11%)
3選を目指した無所属現職 中西誠氏(63) 3240票(19.25%)
自民党公認の新人で測量士 清原猛志氏(59) 3017票(17.92%)
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