米・最高裁判事急逝の波紋〜米国のリーダーどう決まる? その4〜
Japan In-depth / 2016年2月16日 0時30分
上院議員の名が挙がるのは、大統領が指名した人物を上院で聴聞会を開き承認するためで、自分たちの中から選ばれるのなら文句はなかろうと踏むからだ。だがそれもスンナリとは行くまい。1987年、レーガン大統領が指名したロバート・ボークが超保守派すぎるという理由で上院で承認を否決されたケースもあるように、最初にわざと反対されやすい最もリベラルな候補を選び、妥協案としてもう少し中道寄りの人物を持ってくる作戦もありうる。
だが、揉めに揉めて引き伸ばしたところで、共和党の思惑通りに保守派の判事が誕生するかといえば、逆効果だという見方もある。9人目の最高裁判事が選ばれないままだと、今まで中道派のアンソニー・ケネディー判事次第で 5対4で決定が下されることが多かった最高裁が 4対4(保守のクラレンス・トーマス、ジョン・ロバーツ、サミュエル・アリート、アンソニー・ケネディーに対し、リベラルのルース・ベイダー・ギンズバーグ、スティーブン・ブライヤー、ソニア・ソトマヨール、エレーナ・ケーガン)と拮抗する判決が山積みになる。最高裁で判決が出ない場合は差し戻し、つまりその前の高等裁判所の決定にそのまま従うことになる。
そして全米に13ある高等裁判所の3分の2は、リベラル寄りの判事が多数を占めている。これも、政府の重要ポスト指名者の審議を渋り、先送りにしてきた共和党寄りの上院に見切りをつけて、オバマ政権が地道に各高等裁判所の裁判官を決めてきた努力が実を結んだ結果と言っていいだろう。
いずれにせよ、この11月にどんな(ひどい)大統領が誕生しようと任期は4年であるのに比べ、最高裁判事は本人が自ら引退しない限り死ぬまでの永久職だ。この事態に番狂わせだといちばん驚いているのはスカリア本人かもしれない。
トップ画像:Wikimedia Commons
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