アフリカを席巻する中国 その2 新植民地主義の台頭
Japan In-depth / 2016年2月21日 7時0分
比嘉陽子(クリーンテックビジネス事業開発員)
「比嘉陽子の世界最貧国から考える」
マラウイでは、地元弱小事業家を保護する政策が必要であるとの声が高まり、2012年7月31日、外国系貿易商を制限する法律が施行された。新ライセンスの獲得には250,000USDが資本金としてマラウイ中央銀行にデポジットされる必要があり、これは明確に中国人による小規模ビジネスへの参入を阻んでいる。
一方、中国人の目線から見ると現状はどう映るのか。
私の同僚たちは言う、「ここに居るアジア人たちは威張り散らしているけれど、国に帰れば貧乏な奴らなんだぜ」。これは、どうやら正しい。松本仁一氏が『アフリカ・レポート』に記した取材によると、アフリカに住む中国人事業家は貧しい農村地帯の出身で、満足な収入が得られずに生活苦から逃げ出すように、故郷を捨てる覚悟と、ビジネスの元手にと親戚知人からかき集めた借金を背負って国の外へと出るらしい。日本も魅力的であるが、移民や入国に対する制限が厳しいので、アフリカの地を選択する者たちが居る。アフリカには競合が少ないという点も個人事業家たちの進出を促進する。1人が成功すると、それを頼って地元から次々と故郷を捨てアフリカでの事業に掛ける者たちが出てくる。
中国が新植民地主義を実行する悪だとして、その一端を担うとされるアフリカに住んで現地の市場を荒らす中国人事業家一個人たちは、週末も休まずに働き、知恵を絞ってビジネスを軌道に乗せようと努力し、早く借金を返して利益を上げようと懸命に働くも、移住先の政府から中国人いじめのような政策変更を押し付けられて、ここでもまた恵まれないのだ。
マラウイ北部のムジンバ県でレストランを経営していたFu-han Chaoは、ガーディアン紙の取材に不公平だと漏らしている。「マラウイ人は私達と違って熱心に働かない。私たちは彼らよりも早い時間から開店し彼らより遅くまで営業するし、他の店が閉まっている日曜も無休で働く。私たちは熱心に働くから嫌われているんだ。非常に不公平に扱われていると感じるし、とても腹が立つ。同時に、恐ろしさも感じる。次に何をするかまだ決めていないが、多分中国に帰ると思う。」*(注1)
前述の松本氏の書籍によると、「黒人消費者に何が売れるのか、われわれは小売店をまわって必死で勉強している。コンテナで仕入れて売れ筋が外れたら目も当てられないから。黒人の商人たちは、そういうコツを学ぶ気がない。売れ筋をつかんだ場合でも、在庫が切れるまで追加注文しない。次の商品が届くまで時間があき、売れ筋が変わってしまう。」*(注2)
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