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アフリカを席巻する中国 その2 新植民地主義の台頭

Japan In-depth / 2016年2月21日 7時0分

 私の顔なじみの中国人夫婦が経営する小売りショップでは、nannyを雇う余裕もないのだろう。レジ後方の、寝返りをうてるのであれば落ちてしまうほど狭い台に赤ん坊を寝かせて経営を続けているが、現地従業員に対する扱いはひどいものである。彼らの仕事ぶりを買っていないし、そもそも信用してさえいないのだろう。

 Fu-han Chaoの指摘する通り、マラウイのプライベートセクターにはスキルを持った人材が不足していると言わざるを得ない。しかし、人によっては大変立派な仕事ぶりを発揮している。私個人の経験では、外資系企業に勤める人やNGOでそういった人材に出会ったことがある。こういった人材がプライベートセクターにももっと必要なのだ。産業の育成は国の発展の柱でもある。日本の戦後復興も、民間企業の高度成長によって支えられたはずだ。一般的にマラウイでは、高等教育を受けた者は政府かNGOに従事したがる傾向が強い。政府系の機関に勤めれば(給与遅延は度々であるものの)定年後に年金が受給できるし、NGOは給与水準が高くまた遅延もない。医師や看護師など特別な資格を持つ者は給与の高い欧米で雇用先を見つけることができる。

 国内に産業がないから人材が流出する一方で、国内に人材が居ないことは従業員教育コストの圧迫を意味し、海外の成熟産業の進出を妨げる要因ともなる。同時に教育システムが整った多国籍企業が参入してこないから、国内に残った人材が育たないという側面もある。数か月前には、従業員が契約雇用時間内に仕事をさぼって会社の外に出かけられないよう外から鍵を掛けた中国人オーナーが、軟禁と人権侵害で逮捕されるという珍事件があったくらいだ。

(この記事は、アフリカを席巻する中国 その1 深刻な人材問題 の続きです。アフリカを席巻する中国 その3 搾取の連鎖 に続く)

*(注1)"Malawi's new law targeting Chinese traders in rural areas draws criticism". Guardian. August 9, 2012.  http://www.theguardian.com/global-development/2012/aug/09/new-law-targets-chinese-traders-malawi

*(注2)『アフリカ・レポート -壊れる国、生きる人々』松本仁一 岩波新書,2008 p.109.

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