シャープが鴻海を選ぶ真の理由
Japan In-depth / 2016年2月25日 14時33分
さらに2008年にリーマンショック後の家電不況で経営は一挙に悪化、その後もずるずると落ち込み、15年3月期の連結売上高は2兆7862億円と巨額だったものの、連結の最終損益は2223億円の赤字となっていた。戦後の成功企業に名を連ねていたが、もはや自力再建はムリな状況に陥っていたのである。
一方の鴻海は郭台銘会長が1974年に設立した会社で、各国から安い部品を仕入れ、安く製品を組み立てる手法で成長し日米大手電機メーカーからスマートフォンやTV、ゲーム機などを受託し急成長してきた。
もし鴻海の傘下にシャープが入るとすると、白物家電技術が海外流出し、日本勢が敗退に追い込まれたように、液晶技術も同様の運命を辿る可能性は強い。白物家電などは高付加価値製品ばかりを作り過当競争で体力を失って日本の大手電機メーカーが次々と撤退した頃、日本技術陣とそのグループが中国、韓国企業などに誘われ日本に代わる家電王国を築いていったのである。
――企業哲学を失うな――
今後、日本が技術流出を恐れて国内同士の再編に力点をおく政策をとるのか。それとも、いまや国際化時代で、特にアジアは内需の領域とみなしアウェイではなく“ホーム”ととらえるかの選択を迫られているともいえる。しかも現代は国際化、多様性の時代に入っており、東南アジアだけでなく中国、インドなども視野に入れた再編の構想力と実行力が必要ともいえる。シャープは自分たちの身の安全に視点の中心をおくだけでなく、世界のマーケットニーズや世界への貢献なども頭に入れた身の処し方とビジネス哲学を持って身を処して欲しいものだ。
高付加価値で高価な製品をつくることが日本企業のクセになっているが世界を見渡せば、戦後の日本人の欲しかったような家電製品を欲する市場、人々の方がまだ大半だろう。中国などではその辺をみて各国の市場ニーズにあった製品を供給してきたから大きく成長してきたのだと思う。日本は国内ニーズだけでなく世界の大きな市場をみて製品づくりを考えたら、まだまだ成長の余地はあるのではないか。
トップ画像:Head Office of Sharp Corporation in Osaka / Wikimedia Commons
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