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トヨタ・ダイハツ・スズキ新三角関係 その1

Japan In-depth / 2016年3月4日 12時0分

これがどこまで真実なのか定かではありませんが、51%出資の状況で(つまりトヨタ以外のいわゆる少数株主が多く存在する現状で)、完全にダイハツをコントロールすることが難しい状況にあったというのは、ある程度想像がつくことではありました。そこにダイハツの厳しい経営環境が影を落とした訳です。


2016年3月期決算もあとひと月ほどで終わりますが、トヨタ・日産・富士重・マツダなどが軒並み過去最高益を更新する見込みであるのはさておき、国内軽自動車市場で壮絶な戦いを繰り広げ、お互いに深い傷を受けたはずのライバルであるスズキも、それでも過去最高益更新がほぼ見えています。


その中にあって、中間決算で大幅な下方修正、今期営業利益は前期比約28%減の800億円と、2期連続の二けた減益となる可能性が高いのがダイハツです。これは、国内軽自動車市場の低迷に加えて、主力のインドネシアやマレーシア市場の悪化、対新興国通貨での円高影響が響いているからです。今後の経営環境を見た場合、環境対策での新技術や新興国開拓への投資、将来更に縮小していくであろう国内軽市場への対応など、ダイハツを取り巻く環境は大変厳しいと言わざるをえません。


このような環境下、親会社であるトヨタの支援を受けながら、国内軽自動車や他の新興国での販売を伸ばす方向であろう、というのが市場全体の認識ではあったと思います。そこに今回、突然とも言えるこのニュース、トヨタがダイハツへの出資を100%に引き上げ、上場廃止にさせると、ダイハツの社員も多くが驚いたことだと思います。出資比率が51%とはいえ、既に連結子会社であり、経営陣の大半がトヨタ出身者で占められている会社を、ここで更に100%子会社化するといのは、トヨタにとってもそうせざるを得ない状況が多く発生しているということでしょう。


ちなみに、親会社と子会社、双方が上場している“親子上場”というのは、あまり好まれたものではありません。親会社の利益を優先して子会社の他の株主の利益が犠牲となる場合があります。また、この少数株主のために、子会社でありながら、迅速な意思決定ができない、また少数株主損益に伴う利益・配当のグループ外への流出という事態も起こります。


そのため、今回の措置が、トヨタの子会社でありながらダイハツも上場しているという親子上場の状況を是正するための措置、と考えている向きもあるようです。筆者はこれを完全には否定しませんが、それは目的ではなく単なる結果でしょう。仮に子会社上場を問題視したことが今回100%引き上げへの理由ならば、やはり子会社である日野自動車への出資も、現状の50.1%から100%に引き上げて、上場廃止とするハズですが、日野に関しては今のところ一切この手の話は出ていません。トヨタの意図は、全く他のところにあったと言えるでしょう。




(4日連続、2016年3月5日12:00配信のその2に続く。)


 

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