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市民100人が地域戦略策定

Japan In-depth / 2016年3月4日 18時0分

行方市は総合戦略の策定プロセスを重視し、全く新しい手法を採用した。昨年7月に「なめがた市民100人委員会」を立ち上げたのである。鈴木周也市長のリーダーシップによるものだ。

100人委員会の仕組みはこうだ。まず無作為で抽出した市民3000人にアンケート用紙と「総合戦略の計画作りに参加しませんか」とのハガキを送付し、応募のあった90人を委員会メンバーとした。同じ顔ぶれになりがちな公募や推薦による従来の市民参加型委員会とは異なり、行政と全く接点のなかった人や行政にものを言いたいといった人など幅広いメンバー構成となった。

100人委員会は4つの分科会にわかれ、テーマごとに現状把握と取り組むべき施策の議論を行う。各分科会に外部識者による進行役と論点提示役を置き、市の担当職員も説明役や討論者として加わる。行政がよくやる事前の根回しや台本作りなどはご法度で、見知らぬ住民同士がテーブルを囲んで自由闊達に話し合う。その一方で、「言いぱっなし」で終わらぬように各委員は必ず課題と改善提案を記載する。100人委員会は土日の昼間に開催され、委員は無報酬。交通費も自腹となる。こうした100人委員会の運営に力を貸したのが、政策シンクタンク「構想日本」(加藤秀樹代表)である。

これまでとは違った住民たちと平場で話し合う100人委員会に市職員は当初、戸惑ったという。住民視点での素朴な質問や意見をぶつけられることも考えられ、一方的に説明するだけでは済まされない。住民ときちんと話ができるコミュニケーション能力が求められるからだ。最終的に鈴木市長が100人委員会のメンバー職員を決定したという。

それでも事務局となった市総合戦略課に市民と職員の双方からいろんな声が寄せられたという。総合戦略課の大久保雅司課長はこう語る。「100人委員会には2つの大方針がありました。まずは否定をしないこと。そしてどうやったらできるかを議論することです。目的やベクトルは皆さん、同じ。行方をよくしたいということです。職員の意識改革にもつながったと思います」

では、100人委員会が中心となってまとめた行方市の総合戦略案の中身を紹介しよう。掲げられた3つの基本理念に注目したい。

一つは「継続から変革へ」で、「市民、地域、行政が同じ目線で考え話し合うこと、市民が中心となり自発的な地域活動を活性化させることを目指します。そのためには市民、地域、行政に意識変革が必要となります」と明記している。

二つ目が「みんなが主役のまちづくり」だ。「市民自らが市の現状や課題を知り、解決策を考え議論し、活動できること、つまり地域課題を「自分事」として捉えることが大事なのです。今回の総合戦略の策定を機に、行政は市民が主役として輝くことができる環境づくりを行っていきます」と謳っている。

3つ目は「身の丈に合った市政運営」である。「子や孫の世代に負担をできる限り残さない努力をすることで、将来世代が希望の持てるまちづくりを行います。限られた財政規模で質の高い行政サービスを提供できる身の丈に合った仕組みを構築します」としている。この3点こそ、全ての自治体が持つべき基本理念ではないだろうか。

トップ画像:100人委員会第二部のパネルディスカッション、鈴木市長・河野太郎行革防災担当相・「構想日本」の加藤秀樹代表 ©相川俊英

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