トヨタ・ダイハツ・スズキ新三角関係 その3
Japan In-depth / 2016年3月6日 12時0分
遠藤功治(アドバンストリサーチジャパン マネージングディレクター)
「遠藤功治のオートモーティブ・フォーカス」
3 遅々として進まないトヨタの新興国開拓
そんなに小型車領域でトヨタがダイハツを取り込みたい理由は、低コストで開発・生産した車を、一定の利潤を伴って新興国で販売し、プレゼンスを上げて今後の持続的成長を維持したい、まさにこの一点に尽きます。トヨタの新興国での存在感は、タイとインドネシアを除けば、非常に小さいと言わざるを得ません。
トヨタの主な新興国でのシェアは、タイが33%、インドネシアが32%(ダイハツと合わせると約50%)ですが、残りは全て1桁、中国が4%、インドが4%、ブラジルが5%、ロシアが6%余りとなっています。比較的シェアが高いタイは、ピックアップトラックが多かったこと、進出が早かったこと、元々国自体が日本に友好的であること、などの理由で従来からトップシェアを維持しています。
インドネシアはダイハツ、及び現地のアストラとの共同事業、ダイハツが主導で開発した低コスト車を早い段階から生産、ダイハツ主導による小型車事業として、マレーシアと並び、数少ない成功事例となっています。ただ、前述のようにその他の新興国となると、中国・インド・ブラジル・アルゼンチン・トルコ・東欧・ロシアの各地域に工場進出し、その現地での歴史も全て10年以上あるにも関わらず、この全地域でシェアは5%以下なのです。
これは何故なのか。答えは簡単で、現地で高いシェアを取れるような売れ筋モデルが少ない、ということにつきます。上記各国でそれぞれ車種や価格水準、デザイン、重要視される機能、販売手法等は違うのですが、ほぼ共通なのは、低コストで販売できる車づくりの重要性でしょう。とにかく小型車を低コストで作れない、よって割高になり価格競争力が無い、売れる車が無いので販売網の構築が進まない、結果販売力が弱いままであるという、このいたちごっこです。
それでも着実に改善していれば良いのですが、何故か遅々として進まない。中国やロシア、ブラジルなどは、現地経済の低迷や政治的問題など、一企業の枠を超える問題であるとも言えますが、これはその国で販売している全メーカーに言えること、相対的なシェアを見ると全くと言っていいほど上向いていないことを考えれば、やはりトヨタ側に問題ありきなのでしょう。
特にその話題のインドに至っては、進出して20数年間、インドのシリコンバレーと呼ばれるバンガロールに広大な工場を持ち、幾多の新型車を世に送り出してきたにも拘らず、2015年のシェアは僅か3.6%と、2014年の4.5%から更に低下している有様、市場でのプレゼンスが殆ど無いという状況です。
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