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トヨタ・ダイハツ・スズキ新三角関係 その4

Japan In-depth / 2016年3月7日 12時0分

トヨタ・ダイハツ・スズキ新三角関係 その4


遠藤功治(アドバンストリサーチジャパン マネージングディレクター)


「遠藤功治のオートモーティブ・フォーカス」


4 スズキとの提携?


トヨタがダイハツを100%子会社化という記事が出たと同時に、トヨタがスズキと資本提携をする、という話が出てきました。ご存知の通り、スズキはVWと提携を白紙に戻し、VWから自社株約20%を買い戻しました。その買い戻し費用実に4,700億円。所謂、自己株式、金庫株です。ここ数年、スズキは過去最高益更新を続け、財務的にも健全な状況でした。それが4,700億円という現金の流出を受け、バランスシートは相当弱体化しました。


 具体的には自己資本比率が10%ポイント近くも低下、2015年3月末には45.6%であったものが、2015年12月末では36.3%にまで低下しました。現預金残高から有利子負債を引いたネットキャッシュは、2015年12月末現在約2,000億円と、1年前の5,900億円からほぼ3分の一の水準にまで激減ました。またスズキの場合、実は多くのキャッシュはインドのマルチ社が保有するもので、浜松本社の現金残高はこれよりも更に低下しているとも考えられます。


 このままではスズキの財務基盤は毀損され、格付けへの影響、金融機関からの融資条件への影響なども考えられます。スズキは直ちに財務の健全性を改善したいハズです。このために、最も有効的と思われる選択肢は、この金庫株を買い取ってもらい、資本提携することでキャッシュを得ることです。スズキは以前にもGMなどと提携していた歴史があり、今回も国内外複数社の自動車メーカーと資本提携の面で検討・交渉をした形跡があります。


 トヨタとの提携もこのオプションの一つ、トヨタから全ての金庫株とは言わずとも、例えば10%でも出資を受け金庫株を保有してもらえば、これだけで1,500億円以上のキャッシュが入ってくる、スズキとしては財務的に一息つける、またスズキが外資ではなく、トヨタと提携することで、All Japan体制の維持にも貢献ができる、そんな思惑でしょうか。


 この話はスズキがVWとの提携解消を言い出して以来、市場に噂として流れていました。ただその度に、トヨタとスズキは仲が悪いハズ、提携したとしてダイハツとスズキの関係をどうするのか、トヨタがスズキから何を得られるのか、そもそも今の世の中、All Japanも無いだろう、既にトヨタと出資・提携関係にある国内自動車メーカーは、ダイハツ・日野の子会社に加え、富士重・マツダ・いすゞとあり、二輪車のヤマハ発動機も含めれば、6社がトヨタグループに入っている、ここに更にスズキが入る余地があるのか、公正な競争が阻害されるだけではないか、独禁法抵触の可能性もあるのではないか、云々云々。


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