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家電で負けてもマンガで勝つ! 漫画・アニメ立国論 その1

Japan In-depth / 2016年3月10日 7時0分

家電で負けてもマンガで勝つ! 漫画・アニメ立国論 その1

林信吾(作家・ジャーナリスト)

「林信吾の西方見聞録」

唐突だが、スペイン語で漫画、アニメはなんと言うかご存じだろうか。

正解はmangaとanimeである。

もう少し正確に言うと、スペイン語にもcómicoとかanimadoという単語はあるのだが、mangaとanimeはそのまま通じるのだ。 スペイン語圏にあっては、希有な例のはずである。

外来語をそのままカタカナ表記にしてしまう日本とは逆に、スペインの人々は,外国人の名前でも何でもスペイン語読みで通す傾向がある。

英国のウィリアム王子が結婚した際、私はたまたまマドリードにいたのだが、TV中継では王子の名をギエルモ、そして新郎の母たるエリザベス女王のことは、イザベル女王と連呼していた。

「ナウなヤングのナイスなフィーリング」

も私は認めないが、

「イングランテラ(Ingraterra:英国)のイザベル女王」

というのも、いかがなものかと思う。

国家元首でこれだから、他の有名人も推して知るべしで、たとえばハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーなど、若い人は大抵そのまま読むが、年配の人々は「アンヘルナ・ロペス」にしてしまうそうだ。

もちろん、主として英語由来の外来語がそのまま定着する例が、ないわけではない。もっとも身近なところでは電子メールで、correo electrónico(電子郵便)という呼び方が正式だと認識されてはいるものの、ほとんどの人がmailで事足れりとしている。

つまり、mangaやanimeがスペイン語でそのまま通じるというのは、覚えやすい、と言う理由もひとつ考えられるのだが、日本製は別格の扱いを受けている、ということでもあるわけだ。

念のため述べておくと、これは私個人の見解にとどまらない。私がスペイン語を教わった、語学学校のプロフェッソーラ(先生)も、そのように解説してくれた。これは『熟年留学のススメ』(MR.パートナー。電子版も配信中)にも書かせていただいたことだが、宿題をちゃんとやってこなかった生徒に対し、

Por el poder la luna, yo te castigare.(月に変わっておしおきよ!)

と啖呵を切ったことがある人だから、案外オタ……もとい、日本の大衆文化に造詣が深いのかも知れない。

こういうことになる理由は、短期間でもヨーロッパに滞在したならば、よく分かる。 電気店を覗いてみたならば、TVなどはサムスンやLGが、すでに日本製に対して優勢になってきていることが一目瞭然だ。

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