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トヨタとスズキ、大山鳴動して鼠一匹すら出ず その2

Japan In-depth / 2016年3月12日 19時0分

組織改革が頻繁に行われる理由は、解決すべき問題があり、これをどのように改善するのかという、トヨタORIGINALの“カイゼン”運動の一つと言っていいかもしれません。今回豊田社長も言っていますが、組織改革はSolution(解決策)ではなく、Opportunity(機会)であると。ならばこの改革を実践することによって、どんな領域で、どのようなOpportunityを狙っているのか。反対から言えば、そもそも何が問題で、それをどうしたいのか、というSimpleな問いです。これも以前このJID上で議論したことですが、トヨタの最大の悩みは、“規模が最適化水準を超え、固定費が膨張し、意思決定が遅くなっていること”です。トヨタは技術部門が非常に強い組織で“聖域”になっているとも聞きます。よって必要以上のハイスペックで高価(過ぎる)なものが出来やすいと。固定費が膨張するのとはまた違う、技術部隊の性格を異にした高コスト構造でしょうか。

組織の肥大化を是正、会社全体の意思決定の迅速化に向けて、今回、“コーポレート戦略部”が新設されました。これまでの総合企画・商品事業企画・TNGA企画を統合したものです。これによって、いい車をより早く作る体制を確立したいのだと思います。“より早く”は、“より安く”と同義語です。開発費や部門間の折衝・調整時間を短縮化する効果を期待しているのでしょう。と、同時に、聖域であるエンジニアの世界に今回手をつけました。機能軸から製品軸への転換です。ボディー設計部の中に、シャシー技術部の中に、デザイン本部の中に、それぞれ小型車担当と中型車担当がいるのではなく、まさにその反対で、“Compact Car Company”の中にも、“Mid-size Vehicle Company”の中にも、“CV Company”の中にも、シャシー技術部と、デザイン本部と、ボディー設計部が車種別に分かれて入る形です。

カンパニーの中にそれぞれの役割が入る訳で、却ってオーバーラップが増えるのではないか、との懸念も浮上します。手探りでのTry & errorなのかもしれません。

組織改革の前と後で、中間管理職の数が(部長、次長、課長、係長、主査他)、どの程度増えたのか、減ったのか、その数値が知りたいですね。遥かかなたの昔、やはり日経新聞に、“トヨタ、課長職を廃止”なる記事が出たことがあります。隔世の感があります。

まさに“高価”な組織が、この組織改革で、いつ頃、どのような“効果”を生んでくれるのか、この改革が“幸か”、“不幸か”、どういう結果を生み出すのか、壮大な実験なのかもしれません。

(この記事は トヨタとスズキ、泰山鳴動して鼠一匹すら出ず その1 の続きです。全2回)

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