エネルギー問題はなぜ難しいのか?
Japan In-depth / 2016年3月18日 21時0分
竹内純子(NPO法人国際環境経済研究所理事・主席研究員)
「竹内純子の環境・エネルギー政策原論」
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東日本大震災をきっかけとした東京電力福島第一原子力発電所事故(以降、東電福島原子力事故)によって、日本のエネルギー政策に対する世論は大きく変わりました。以前から全面自由化や発送電分離など電力システムの一層の改革や、再生可能エネルギーの活用、原子力発電の廃止を求める動きはありましたが、東電福島原子力事故によって世論の流れが大きく変化しました。
多くの人が、これまでの電力システムを見直すべきだと考えるようになりました。エネルギーはライフライン。自分たちの“生命線”について思いを巡らせる方が増えることは大変良いことです。変化のきっかけが原子力災害という二度とあってはならない許すべからざる出来事であったとしても、これは歓迎すべき変化でしょう。
ただ、それまで電力に無関心で、使いたいときに使いたいだけ使ってきたにも関わらず、急に断片的な情報がシャワーのように降り注いだので、消化不良を起こされた方も多いように見えます。エネルギー政策は、電気の物理的・技術的特性は当然、外交や国際情勢、環境問題、経済学など、とにかく幅広い知識と視点に基づき、多角的に考えることが必要です。ある一面から見れば良いことでも、違う観点から見れば課題を生じさせるということは多々あります。だからといって身構えないでくださいね。いわゆる有識者や専門家と言われる方たちでも、全てを網羅できている人は実は殆どいません。
また、実現までには相当の長い時間がかかることも踏まえなければなりません。例えば今日火力発電所の建設計画の立案に着手したとして、環境アセスメントや用地買収、漁業補償などさまざまな手続きを踏んでいれば、稼働を始めるまで10年、15年かかるというのはざらです。
Japan In-depthという深く掘り下げる媒体に場を与えていただきましたので、一般的な報道では見えづらい全体像を把握していただけるよう、これからひとつひとつご一緒に考えていきたいと思います。
<エネルギー政策の基本>
エネルギー政策の基本は「3E(Energy Security / Economy / Environment)+S(Safety)」と言われます。人によっては、Sが大前提であることを強調するため「S+3E」と言ったりします。政府や電力会社のパンフレットなどを見ると「3Eの同時達成を目指します」などと書かれていたりしますが、こういうキレイごとを言ってはいけません(笑)。
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