少数民族が支持する候補は誰? 米大統領選クロニクル その7
Japan In-depth / 2016年3月19日 12時0分
古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)
「古森義久の内外透視」
アメリカ大統領選挙の共和党側で勝利を重ねるドナルド・トランプ候補の支持集会をみていると、集まった男女はヨーロッパ系、つまり白人が圧倒的に多いことにすぐ気づく。トランプ氏が黒人やヒスパニック系の少数民族を突き放す言辞や政策をみせていることのはっきりした反映なのだろうが、伝統的にも多数派の白人が共和党側に多いことはアメリカ政治の近年の常識ともなってきた。トランプ氏の場合、その特色がまた一段と顕著なのだ。
大統領選での人種や民族という要素について私が初めて強く実感させられたのは1980年8月、ニューヨーク市での民主党全国大会に行ったときだった。その前月、共和党全国大会はすでにテレビでじっくりとみていた。ミシガン州のデトロイトでの開催だった。
その後に実際にこの目でみた民主党大会では黒人やアジア系の顔が共和党大会よりもずっと多いことを痛感した。
この会場はこの連載コラムですでに書いたようにニューヨーク市中心部のマディソン・スクエア・ガーデンだった。取材記者の一員として入場許可証を受け取り、観客席に設けられた報道陣席から屋内スタジアムの中心部の広大なアリーナに一歩、足を踏み入れた瞬間に、もう少数民族のアメリカ人男女の多さがわかった。
この取材で私は実は自分自身がそのアジア系の顔をアメリカの全米放送のテレビにばっちりと映されていた。あとで何人もの友人や知人が教えてくれたのだ。確かCBSテレビだったが、とにかく全米三大ネットワークのうちの一局のカメラが会場のあちこちの情景をとらえるうち、私の姿に焦点を合わせて、しかも普通よりも長く、10数秒もそのまま、かなりのクローズアップだったというのだ。きっと日本人記者だとは知らず、アジア系の代議員だと勘違いしたのだろう。あまりにささいな出来事ではあったが、民主党大会の少数民族の多さを奇妙な形で反映したような体験として私の脳裏には長く残った。
人種や民族のるつぼのアメリカでは政党支持にもその区分が反映されることはすでに書いてきた。おおざっぱに述べて、民主党側に黒人、アジア系、ヒスパニックなどの少数民族が多いのだ。多い、というのは共和党側の支持者の人種構成にくらべて、民主党側の少数民族の比率が高いということである。この事実は各種の統計で証明されている。
だが今回の2016年の選挙では共和党側のトランプ陣営に少数民族が少ないと同時に民主党側のバービー・サンダース候補の支持層にも少数民族が少ないことが指摘されている。事実サンダース候補の集会をみると、若者が多いのがすぐにわかるが、同時にその支持者たちがほとんど白人であることも歴然とする。候補者のサンダース氏がいかにも白人らしい白人という事実もその要因なのだろうが、その他にもいろいろな理由が指摘されている。
今回の選挙ではいろいろ異変が多いのだ。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
久保利英明の【わたしの一冊】『ヒルビリー・エレジー』
財界オンライン / 2025年2月2日 11時30分
-
息子2人と応援に来た牧師、スタバで働く5児の母、爆音で音楽を流すトレーラーの運転手…集会に潜入取材して見えた「トランプ信者」の顔
文春オンライン / 2025年1月30日 6時0分
-
トランプ支持者の「優しさ」に触れて...ワシントンで見た、反対派との議論で「溝が埋まる」瞬間【トランプ集会ルポ】
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月29日 15時3分
-
【トランプ大統領就任式当日・ワシントンDC現地ルポ】熱狂する支持者が市街地を占拠状態「トランプはイエヤス・トクガワのような人物だ」
NEWSポストセブン / 2025年1月28日 11時15分
-
トランプ新政権の日本への意味とは その3 トランプ氏の価値観が伝えられない
Japan In-depth / 2025年1月7日 12時56分
ランキング
-
1トランプ氏が「米のガザ所有・復興」提案 住民の恒久的移住を支持
ロイター / 2025年2月5日 12時26分
-
2ギリシャの観光地サントリーニ島で地震700回以上 観光客ら避難
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年2月4日 21時16分
-
3日本人女性殺害容疑で元夫逮捕=子の帰国巡りトラブルか―ハンガリー
時事通信 / 2025年2月5日 9時5分
-
4韓国大統領、「非常戒厳」宣布時に報道機関封鎖を指示 〝実行役〟司令官と弾劾審判で対峙
産経ニュース / 2025年2月4日 18時41分
-
5墜落アゼル機に多数貫通痕 カザフ政府が暫定調査結果
共同通信 / 2025年2月5日 8時32分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください