見通せない再稼働 防潮堤完成の浜岡原発
Japan In-depth / 2016年4月1日 11時47分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
「浜岡原発」。その名前を知っている人はどれだけいるだろうか?
「ああ、菅首相(当時)が3.11後、真っ先に止めた原発か。」とわかった人はかなり記憶力がいいか、関係者だろう。
その浜岡原発(静岡県御前崎市)が、きょう久しぶりに表舞台に返り咲いた。全国ネットで流れたそのニュースの見出しは:
「防潮堤の完成」
そう。中部電力がかねてから南海トラフ巨大地震の津波対策として建設していた防潮堤がついに完成したのだ。その威容は近くに行って見上げた者しかわからない。高さ実に海抜22ートル、全長は2.4キロ。東西の両端は盛り土で補強してある。
あれは、東日本大震災のおよそ2か月後の2011年5月6日の夜だった。菅直人首相は緊急記者会見を開き、静岡県御前崎市にある中部電力浜岡原子力発電所の全ての原子炉の運転を停止するよう要請した、と発表したのだ。
停止要請の理由として菅首相は、「これから30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫をしている」とした。その根拠として、文部科学省の地震調査研究推進本部の評価を挙げた。その上で、菅首相は、「想定される東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施することが必要」で、「国民の安全と安心を守るためには、こうした中長期対策が完成するまでの間、現在、定期検査中で停止中の3号機のみならず、運転中のものも含めて、すべての原子炉の運転を停止すべき」だとした。
これを受け、中部電力は5月9日、「現在運転中の4号機、5号機を停止する決定をした」、と発表した。また当時、定期検査から停止したままであった3号機についても「当面運転再開を見送る」と発表したのである。
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