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仏、ムスリムのスカーフ着用論争再燃

Japan In-depth / 2016年4月11日 20時34分

仏、ムスリムのスカーフ着用論争再燃

Ulala(ライター・ブロガー)


「フランス Ulala の視点」


先日フランスでは、テロに関与した二重国籍者から仏国籍を剥奪すると言う改憲案が断念されたところだが、しかしその後、新たな議論の火蓋が切られた。ドルチェ&ガッバーナ、マークス&スペンサー、H&M、ZARA、ユニクロなどの複数のブランドからイスラムファッションが売り出されていることを受けて、イスラム教の女性が頭にかぶる「ヒジャブ」と呼ばれるスカーフに関する論争が再燃したのだ。


ローランス・ロシニョール家族担当相は3月30日に、イスラム教のスカーフを着用する女性たちを「奴隷制支持のネグロ(黒人)」に例え、イスラムファッション販売を非難し、ソーシャルメディア上で大きな批判を浴びた。


フェミニストのエリザベス・バンテール氏は、「ネグロ発言は残念だが、家族担当相の言うことはもっともだ。女性の身体を“閉じ込める”思想に賛同する行為は、今まで戦ってきたことを全て無駄にすることだ。イスラムファッションを売るブランドをボイコットすべきだ。」と擁護した。


バンテール氏は1989年の「スカーフ事件」で、スカーフを身に着けて学校に来ることはフランス共和国の基本的な理念に触れるものとし、「教師たちよ、降伏するな!」と説いた人物の一人だ。「スカーフ事件」は、スカーフを学校に身に着けてきた生徒が退学させられたことが発端となり論争が巻き起こった事件で、スカーフに対する論争が始まる最初の大きな出来事とも言える。


また、マニュエル・ヴァルス首相も「女性がスカーフをつけることで意味することは、ファッションという現象ではない。身に着けている色でもない。それは、女性の奴隷化だ。」と4月4日の会議中発言し、更に燃料を投下したのだ。


これに対してイスラム教徒側は、「女性が着たいものを着ることについて、閣僚が口を挟む権利があるのか」と反論。ソーシャルメディアでも、twitterで#TousVoiles(すべてのベール)と言うハッシュタグができ、男性もスカーフを被った写真をアップするなど、次々とイスラム女性擁護の活動が立ち上がっている。


しかし「スカーフ事件」の時代とは違うのは、現在ではイスラム教徒の女性自身が情報を発信する機会も増えたと言うことだ。フランスから1歩離れれば、イスラム教徒の女性がロリータファッションのテイストをしっかり残しながらイスラム教の教義も守れるように工夫した「ムスリムロリータ」を公開したり、スカーフを使って「ディズニーコスプレ」をする写真が紹介され、その様子は日本のサイトでも紹介されている。


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