朝日新聞の「まっとうではない」言論
Japan In-depth / 2016年4月14日 21時17分
古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)
「古森義久の内外透視」
朝日新聞が4月13日の朝刊にまたまた偏った社説を掲載した。その見出しは「TBS批判 まっとうな言論活動か」とあった。この情緒的な表現をそのまま借用するならば、朝日新聞の社説こそ、「まっとうではない」言論活動である。
この社説の主題はTBSテレビの偏向報道だった。かねて政治的な偏向が激しいとされるTBSテレビに対して民間有識者による「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下、「視聴者の会」と略)という組織が昨年11月26日、公開質問状を発表した。
質問状はTBSテレビの「NEWS23」という報道番組でアンカー(司会役)の岸井成格氏が「メディアも安保法案の廃案に向け声をずっと上げ続けるべきだ」と述べたことに対し、放送法の「政治的公平」や「意見の対立する問題では多くの角度からの論点を」という規定に違反するとして岸井氏の見解を問う内容だった。この番組全体が自民党や政府の政策には一貫して反対し、賛成意見を紹介しないという偏向をも指摘していた。
だがこの質問状に対し岸井氏は記者会見で質問状を発表した側の人々を「低俗、知性のかけらもない」と誹謗しただけで、肝心の偏向についてはなにも述べなかった。TBS自体が発表した「回答」も「アンカーがニュースに対して解説、論評をすることは広く受け入れられている」と述べただけで、「視聴者の会」が指摘する放送法違反部分にはなにも答えなかった。
ちなみに「視聴者の会」の代表は作曲家としては超一流のすぎやまこういち氏、上智大学名誉教授の渡部昇一氏、拓殖大学前総長の渡辺利夫氏、弁護士のケント・ギルバート氏などである。岸井氏から「低俗」とか「知性がない」とののしられるのはいかにも奇異に映る。
だから「視聴者の会」側はTBSや岸井氏が公的な電波使用の権利を与えられる側の責任を果たしていないと判断し、TBSの番組のスポンサーとなっている企業などへの広告料提供の自粛の呼びかけを語るようになった。その動きを心配したTBSが先週、「スポンサーに圧力をかけるなどと公言していることは、表現の自由、ひいては民主主義に対する重大な挑戦である」とする声明を出した。その前提としてTBSは「多様な意見を紹介し、権力をチェックするという報道機関の使命を認識し、自律的に公平・公正な番組作りをしている」とも述べていた。
朝日新聞の社説はそのTBSの主張を全面的に正しいとして、「視聴者の会」の動きを「まっとうな言論活動とはいえない」と断じていた。その社説には他に以下のような記述もあった。
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