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三菱自「パジェロゲート事件」5つの違和感 その5

Japan In-depth / 2016年5月4日 7時0分

三菱自「パジェロゲート事件」5つの違和感 その5

遠藤功治(アドバンストリサーチジャパンマネージングディレクター)


「遠藤功治のオートモーティブ・フォーカス」


【違和感④三菱自の業績上】


4月27日、三菱自動車は2016年3月期決算を発表した。売上高は前期比4%増の2兆2,678億円、営業利益は同1.8%増の1,387億円、共に過去最高を記録した。全世界での小売販売台数は104.8万台と、こちらは前年比4%ほど減少したのだが、当社にとっては最大の販売市場であるASEAN向けが21.8万台と微増、2位の西欧向けが17.3万台と12%増と好調、当社が力を入れているアウトランダーPHV(プラグインハイブリッド)は、この西欧を中心に全世界で42,000台の販売と前期比20%増、当社にとっては利益率の高い車種、このような背景で昨年度決算は非常に堅調であった。


問題は今年度2017年3月期だが、会社側は業績予想を見送った。今回の不正問題で、販売・生産の見通しがつかず、発生するであろう補償費用などのコスト算定も現状では不透明、予想数値を作る上で合理的な判断がつかない、というのが理由である。


連結従業員数約3万人、下請先を含めれば10万人規模の大企業である。売上規模も大きければ、比例して費用規模や資金需要も大きい。取引先は優に5,000社を超える。自動車産業はピラミッドである。トップの自動車メーカーがこければ、その波及効果(Multiplier effect)は3倍以上、自動車部品・鉄鋼・電機・化学・非鉄・小売等など、裾野が広い分、自動車以外の産業にも影響度は大きくなる。


取りあえず、4月20日から今回不正の対象となった車種、eKワゴンの販売は停止されている。日産へのOEM車であるデイズの販売も停止、両モデルを生産している水島工場は軽自動車の生産ラインを停止、従業員1,400人が自宅待機中という。


経営陣は会見で、今後、これらの車を購入した顧客への補償を考えるという。合わせて日産への補償、また、対象台数が今後大幅に拡大し、場合によっては海外への輸出分も含まれる可能性、部品会社への補償や期間労働者の雇用更新を行わないなど、その影響度は大きいものと考える。


具体的に、三菱自動車にはどのようなコストが発生するのか、その規模感はいかほどのものか、試算をしてみる。その前提となる条件がまだ確定していないので、現段階では甚だ流動的ではあるが、総コストは優に2,000~3,000億円規模まで膨れ上がる可能性が高い。否、これでも甘すぎる試算かもしれない。


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