1人でいるより2人が得 仏の少子化対策
Japan In-depth / 2016年5月15日 11時0分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
この近年、日本の経済が下降してきたあたりから結婚しない人が増えている。身近を見回しても結婚していない男女がゴロゴロいることに驚きを通り越して、すでに日常になった感じだ。
内閣府男女共同参画局(注1)によると、平成22年度 の生涯未婚率は、男性20.1%、女性10.6%であり、男性では5人に1人、女性では10人に1人は結婚していないことになる。この調子でどんどん結婚しない男女が増えれば、更に少子化が進み、将来の日本の基盤を揺がしかねない状況なのだ。
同じように少子化の危機に悩まされ、現在は見事に回復して高い合計特殊出生率を保つフランスについて考えてみると、1993年、1994年の合計特殊出生率は1.73まで落ち込んでいたことがあった当時は、結婚数が減少していた時期でもあることが分かる。
フランスは今もだが、当時も失業率が高く、いつまで定職についてられるかもわからない状況の若者も多く、一人で生きていくのも大変なのに結婚してパートナーの責任を持つことは考えられない、もしくは持ちたくないと考える者も多くいた。それでも、誰かと一緒に暮らしたいという気持ちはあり、会計は別だが一緒に住むという形で同棲する人達が多かったのだ。
そこで、出されたのが民事連帯契約(通称PACS)。1999年にフランスの民法改正により認められることになった「同性または異性の成人2人による、共同生活を結ぶために締結される契約」である。
最初は同性愛者のカップルの救済が主な目的で作られたものであったが、「結婚」と言う重みはなく、結婚と同等に近い権利を持つことができるということで、異性間カップルの間でも広がったのだ。
その結果、結婚自体の数は減ったが、PACSも加わることで、いわゆる「結婚状態」のカップルが急増し、それに伴い合計特殊出生率も2012年には2.01にまで回復した。
結婚+PACS(件) 合計特殊出生率(注2 INSEEより)
1994年 260,866 1.73
1999年 297,095 1.81
2012年 399,600 2.01
日本の結婚・家族形成に関する調査報告書(注3)を見てみると、結婚していない割合が多いのは、年収300万円以下の男性が特に目立つ。また、非正規雇用と正規雇用を比べた場合に、男性の非正規雇用が結婚していない割合が高い。この状況を見ると、日本の結婚率が低い層の人物像がフランス人の姿に重なって見えてくるのだ。
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