「ヒラリー神話」もう一度 米大統領選クロニクル その11
Japan In-depth / 2016年6月6日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)
「古森義久の内外透視」
アメリカ大統領選では民主党側で当初から本命視されてきたヒラリー・クリントン候補の意外な苦戦が目立つ。全国党大会での指名獲得が確実だとされるとはいえ、なお予備選の最終段階でバーニー・サンダース候補に追いつかれ、接戦が続くのだ。
この争いはいよいよ6月7日の大票田、カリフォルニア州などでの予備選で決着がつくともみられている。だがこの8年前の同じ6月7日は同じ大統領選予備選でバラク・オバマ候補に戦いを挑んだクリントン氏が敗北を公式に認めた日だった。
当時の選挙戦では冒頭で圧倒的な人気を誇っていたクリントン氏は必ずアメリカ初の女性大統領になるという一般の期待から「ヒラリー神話」とまで評されていた。その時、この神話が崩れたわけだが、8年後のいま、彼女はいよいよ大統領に向かっての大きな前進を果たすのだろうか。
クリントン候補は今回の一連の予備選では6月5日までに民主党の各州代議員を合計1776人、獲得した。そのほかに予備選枠の外にいる特別代議員計547人からすでに支持を得たという。その結果、合計2323人、全国党大会での指名に必要な全代議員の過半数2383人にわずか60人足りないことになる。カリフォルニア州で勝利すれば、その過半数ラインは軽く超えるわけだ。
だが民主党候補では対抗馬のサンダース上院議員がなお果敢に戦いを挑んでいる。意外や意外の健闘を続け、クリントン候補を破った州も多数ある。6月5日現在のサンダース候補の獲得代議員は合計1547人、そのうち特別代議員は46人に過ぎず、クリントン候補にくらべ、一般の代議員の獲得で善戦してきたことがわかる。サンダース候補はこの獲得代議員の数の差にもかかわらず、なお全国大会まで撤退はせずに、クリントン候補へのチャレンジを続けると宣言している。だからクリントン氏はまだまだ安心できないわけだ。
今回の大統領選では各州の予備選はこの6月7日で終わりとなる。その後に予定されるのは首都ワシントンのコロンビア特別区での予備選だけなのだ。今回の民主党側の指名争いではクリントン候補が各種世論調査での支持率でも、過去の政治歴でも、知名度でも、抜群の強さをみせ、簡単に勝利を確定するとみられていた。だがサンダース候補の予想外の人気の高さに圧倒されるという場面が何度も起きてしまった。この状況は8年前の選挙戦と似た部分がかなり多いのである。
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