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フロリダ同性愛バー襲撃テロ 国内分裂の矛盾突くIS

Japan In-depth / 2016年6月13日 9時14分

 一方、民主党のクリントン大統領候補の論点は「ヘイトクライム」であり、「イスラム」ではない。同氏は声明を発表し、「犯人は、LGBT(性的少数者)プライド月間にゲイバーを襲った。LGBT の皆さん、私を含め、多くの味方がこの国にはいる」と述べた。ISの狙い通り、米国の国論は団結どころか、すでに割れている。

 さらに今回のテロは、進まない銃規制がテロリストを助長している事実を改めて米国民に突き付けた。だが、その銃に関する世論は分裂している。

 マティーン容疑者は、国際セキュリティ企業G4S勤務の要員で、テロに使用した火器を合法的に入手していた。2015年12月2日にカリフォルニア州のサンバーナーディーノ市で、ISに忠誠を誓う米国生まれのパキスタン系米国人サイード・リズワン・ファルーク容疑者(享年28)らが合法的に入手した銃を乱射して14名を殺害し、17名に重軽傷を負わせたテロを彷彿とさせる。

 マティーン容疑者もファルーク容疑者も、現行の銃規制では、法的に問題ない購入者だった。日本のように銃所持を禁止してしまえば今回のようなテロは防げるが、サンバーナーディーノのテロ後、規制が強化されるどころか、護身のため銃を購入する人が保守派・リベラル派を問わず増えた。今回の事件後も、「テロに際しての護身用」として製品を売り込む銃器産業がさらに潤うことになるだろう。銃規制派と反銃規制派の対立は激化し、この面でも米国内の分裂による全体的な米国の覇権衰退を望むISの思うツボである。

 結局、最も有効なテロ対策は国民の団結なのだが、今の米国民にも米政治家にも、そのような意思も能力もない。テロリストはますます、仕事がしやすくなろう。

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