円を目指すな、三角を極めよ
Japan In-depth / 2016年6月27日 11時0分
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
最近のパラリンピックに関する見方で、厳しい状況に耐えて努力して強靭な肉体を手に入れた人々という捉え方がどうしても好きになれない。それは確かに彼らを見ていて間違えないことなのだけれども、一歩引いてみると障害と能力を手に入れることはトレードオフでもある。
例えばサヴァン症の人が人よりも極端に優れた記憶力を持っていたり、または赤色が認識できなかったゴッホが素晴らしい色彩で絵を書いていたとされている。それを見て何かの能力が欠けている中で頑張って人よりも優れた結果を残した人々という捉え方もできるかもしれない。一方で、その特徴がなかったら、本当に人と違うような表現ができたのかという観点もある。
私は人間の最大の能力は適応であると思っている。私たちには与えられた環境に適応する能力が備わっている。もしも、若くして視力を失えば視覚に関わる脳の一部が聞くときに反応する。それを努力で手に入れたと言えるかもしれないが、私は人間の適応と表現した方がしっくりくる。
“あるべき姿は完全な円であり、三角に生まれついた人がその完全な円に近づこうとすることが努力である。そして、その象徴がパラリンピックである”と言われている気がしてならない。私は本当の努力は三角を極めることにあると思う。
パラリンピックが面白いのは、その適応を極端な形で成功させている人々の、工夫のプロセスにあると私は思っている。各スポーツ選手の体型が変化していくように、それぞれの障害の種類と競技特性によって、身体が適応している。
サヴァン症候群の人が、トレーニングをして多少言語が扱えるようになった結果、記憶力が失われたという報告もある。それを才能が失われたという人もいる。
(為末大 HP より)
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