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英・米の「ダークサイドの覚醒」

Japan In-depth / 2016年6月28日 9時59分

英・米の「ダークサイドの覚醒」

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2016年6月27日-7月3日)」

先週23日の国民投票結果は大阪で聞いたが、久し振りで絶句した。Brexit(英国のEU離脱)が数%以上の差で決まるとは正直思わなかったからだ。大方の予想も同様だろう。決定直後の市場は不確実性とボラティリティでパニックしたようだが、これを予測できた一部は良い思いをしたのではないか。市場のことは良く判らないが・・・。

それにしてもどうして事前の予想は外れたのか。「Undecided未定」と答えた有権者の本音を読むのは意外に難しい。現状変更なら「離脱」だし、現状肯定なら「残留」なのだろうが、今回は現状に不満を抱くUndecidedが「離脱」に振れたのかもしれない。そもそも有権者は嘘をつく。離脱派は本心を言わない傾向もあったようだ。

興味深かったのは世論調査(opinion polls)と賭け屋(betting companies)の違いだ。今回後者では圧倒的に「残留」が多かった。金を賭けるのだから本気だろう、ということで多くの人は「残留」優勢と考えたのだろうが、本当か。「賭け」は希望的観測でしかなく、「世論調査」は建前しか言わない。実はどちらも信頼できないのだ。

今回改めて痛感したのは、連合王国ですら「ダークサイドの覚醒」が進んでいたという現実だ。離脱派の中心は、中高年・白人・男性・低学歴・ブルーカラーだという。おいおい、これって米国のトランプ支持層の中核と同じではないか。あまり悲観的になるのは良くないが、これは決して偶然ではないだろう。恐ろしい時代になったものだ。

 

〇欧州・ロシア 

英国以外では、27日にウクライナ大統領がブラッセルを訪問しEU首脳と会談する。過去一週間近くはBrexitで大騒ぎだったが、ウクライナ問題が進展していないことを忘れてはならない。一方、ロシアはソチで黒海経済協力会議を開くという。どうやら、ロシアのやることを一つ一つに意味があるようだ。

〇東アジア・大洋州

豪州で29年ぶりに上下両院が解散され、7月2日に投票が行われる。世論調査は当てにならないと書いたばかりだが、報道によれば、与野党は拮抗しており、接戦となるらしい。オーストラリアも英語が公用語だがBrexitに似た状況がここにも出てくるのか。そうであれば、今後は豪州のダークサイドにも注意を払わなければならなくなる。

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