離脱派の誤りによって免罪されぬEU EU離脱・英国の未来像その5
Japan In-depth / 2016年7月22日 23時0分
EUという組織を実際に動かしているのは、EU委員会と称される機関だが、この委員は、各国で功績のあった政治家が送り込まれている。たとえば、1980年代に英国労働党を率いて、サッチャー政権をあと一歩のところまで追い詰めたニール・キノック氏などは、1992年の総選挙で敗退した責任をとって党首を辞任。英国の政界においては、引退も同然の身となっていた。しかし、EU委員となって運輸政策などで強い発言権を持ったのである。
これが典型的な例で、キノック氏は英国政界の大物ではあったが、首相経験者ではない。言い方は悪いが、たかだか野党の元党首だ。それが、選挙の洗礼も受けることなく、EUの指導部に名を連ねている。
日本での知名度を考えれば、もっと分かりやすい。フランスのオランド大統領やドイツのメルケル首相の名は、みんな結構知っているが、EU大統領とも称される欧州議会議長のドナルド・トゥスク氏など、どれほどの人がその名を記憶していたであろうか。
このように「顔の見えない」官僚機構によってEUが動かされている以上、わが国の政治家や有権者の立場がどこにあるのか、と声を上げる人が出て、なんの不思議もない。前にも述べた通り、離脱派がキャンペーンの中で並べた嘘八百は、断罪されねばならない。しかし、そのこととEUが抱える問題は、話が別であろう。EUも、変わって行かなければならない。
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