バヌアツの誇り 女子ビーチバレー最強コンビ
Japan In-depth / 2016年7月28日 13時36分
相川梨絵(フリーアナウンサー・バヌアツ共和国親善大使)
「相川梨絵のバヌアツ・ニュース」
間もなく、オリンピックが開幕しますが、ここバヌアツでは、オリンピックは全く盛り上がりません。そもそも、国民がまったくオリンピックに興味をもっていないのです。
私がバヌアツへ来たのが、ちょうど4年前のロンドンオリンピックの年。オリンピックといえば、世界中の人が夢中になるイベント、そんな風に思っていました。
しかし、ここでは、オリンピックのオの字も聞くことができませんでした。いつ始まったかさえ知らない。地元紙にもオリンピックの記事はなし。バヌアツの選手が出場しているレースがTVで流れているときでさえ、誰も気にしない。このギャップに当時の私はショックを受けました。そんなバヌアツが、ビーチバレーボール女子 リンリン・ミラー コンビの快進撃により、変わりつつあります。
彼女達の挑戦は2012年8月12日から始まりました。オリンピック出場は国際大会で勝利した際に獲得できるポイントの累積数で決まります。つまり大会に出場すればするほど、ポイントを稼げるのですが、発展途上国のバヌアツは、国際大会に毎回出場するだけの資金はありません。彼らの挑戦は、技術の向上だけでなく、資金集めも大きな部分を占めていました。練習の合間を縫って、ファンドレイジングを頻繁に行いました。ユニフォーム姿でサポートをお願いする姿を直接国民が目にする事で、バヌアツ国民も、徐々にオリンピックというものを認識し始めたように感じます。同時に、着実に実力をつけていった彼女達。
2014年には、国際大会で3度優勝しました。彼女達の活躍に伴い、少しずつ、スポンサー、サポーターも集まりました。そして、オリンピックに向けて大事な2015年。ビーチバレーがんばれという空気がバヌアツ全体に流れ出し、盛り上がりつつあったその矢先に、あの巨大サイクロンPAMの襲来がありました。
彼女達も、他の多くのバヌアツ人同様、家を失いました。練習用のコートもなくなりました。とてもとても、練習なんてできる状況ではありませんでした。しかし、彼女達は、一ヶ月後にタイの大会へ向かいました。結果は2位。その翌週の大会にも出場し、なんと優勝したのです。サイクロン以降、久しぶりの明るいニュースでした。
彼女達の活躍がバヌアツ人の活力となり、サイクロンPAM復興のイメージーガールズとして、キャッチコピーの「VANUATU STILL SMILE(バヌアツは今も微笑んでいる)」を唱いました。また、その後、ユニセフ太平洋支部のイメージキャラクターにも任命されました。
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