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改正児童福祉法の示すところを実現するために

Japan In-depth / 2016年8月6日 0時52分

改正児童福祉法の示すところを実現するために

Japan In-depth 編集部(庄司江里子)

2016年5月27日に児童福祉法が改正され、家庭養育の推進が期待される今日、東京・港区の日本財団にて「子どもの家庭養育官民協議会の研修会」が開催された。官民協議会の参加団体が家庭養護の推進に取り組む上で、有意義な情報を共有するとともに、参加団体間のネットワークを活性化することが目的だ。

まず講演を行ったのは、厚生労働省家庭福祉課課長の川鍋慎一氏。改正児童福祉法についての理念や、児童虐待防止策の検討に関する経緯について説明があった。川鍋氏は最も大切なキーワードとして「家庭養護の推進」を挙げ、それを進めていく上で日本人としての在りようを見ていかなければならないと強調した。又、この法改正施行日に向けて、行政や民間が何をどこまで進めるのか、整備していくことが重要だとも述べた。

続いて、長野大学准教授の上鹿渡和宏が登壇し、「改正児童福祉法の示すところを実現するために」というテーマで講演を行った。上鹿渡氏は、今年2月に日本財団とルーモス(注1)の共催で実施された、英国での家庭養護推進の視察研修の結果を元に、今後日本で必要とされる社会的養護についての説明と、日本が抱えている里親養育に関する問題提起をすると同時に、施設から家庭を中心とした養育システムの移行が進んでいる英国の事例を紹介した。

里親養育については、対応の難しい子どもをどのように引き受けるかという問題に対し、ニーズにあった様々なタイプの里親養育の準備やそれにおけるケアの質向上と維持が必要と上鹿渡氏は述べ、今後、里親支援機関、専門的なソ−シャルワーカーの人材の確保について、施設養護関係者にとって新たな活躍の場になるのでは、と述べた。

また日本で参考にすべきこととして、英国でかつて施設ケアサービス提供者が、現在は里親、養子縁組など、新たな社会的養護システムの役割を担っているという興味深い事例の紹介もあった。

最後に、改正児童福祉法の示すところを実現するためには「家庭支援」「養子縁組」「里親養育」「施設養護」に関係するそれぞれが、子どもや家庭のニーズを把握し、システム全体として全ての子どもの最善の利益を保証できるよう変化することが必要だと述べた。

そして、この考えに賛同する全国の人々が情報交換し、取り組みにおける課題を相談できる連携の場を作れないか、また家庭を中心とするシステムへの移行について、様々なチャレンジとその成果を蓄積し共有することで、この動きを早めることができるのではないか、と述べ、包括的で戦略的なシステムの再構築が重要だと強調した。

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