ブルキニ論争に終止符 再燃懸念も
Japan In-depth / 2016年9月3日 23時0分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
フランスが世界から批判を受けることとなったブルキニ論争も、禁止命令が無効と言う裁判結果が各地で続々と出され、9月に入りようやく一区切りがついた。
フランスの今年の夏は熱かった。フランスではテロが頻発した結果、テロへの恐れからイスラム教への反発感情が急激に高まり、その矛先の一つがイスラム女性が着る全身を覆う水着であるブルキニに向き、カンヌを始めとする複数のビーチでブルキニ着用が禁止となったのが発端だ。
当時を振り返ると、雰囲気としてはとても異様だったかもしれない。普段、差別に反対している知人ですらが「ブルキニ禁止は当然だ」とつぶやき始めたのだから。
ブルキニ反対派が唱えるロジックはいくつかある。
1.1989年から始まったスカーフの論争の末、ライシテ(政教分離)という理念の元、学校で「宗教シンボル禁止法」が決まったという事実もあり、公共の場であるビーチにもに宗教的なものを持ち込むことも禁じる必要があること。
2.イスラム女性が全身を隠すのは、男性によって強制されたものであり、奴隷のシンボルであるので着るべきではないこと。
3.テロ活動を未然に防ぐ必要があること。
など。
こういったロジックを理由とし、現地の警察の解釈でその取り締まりはブルキニのみならず、宗教を感じてとれる女性の服装全般にまで広がっていくこととなった。トゥルーズから来たフランス国籍の女性は、ブルキニは着用しておらずチェニックにスパッツ、そして髪にスカーフをしてビーチに座っていただけで警察に罰金を払うか立ち退きのどちらにするかを迫られたと言う。さらに回りの群衆からは「ここから出ていけ」「フランスはカトリックの国だ」などと言う差別的発言も投げつけられた。他にも同様な事例が反イスラム嫌悪協会に届けられていているが、そのほとんどがブルキニを着用してなかったそうだ。
さらに世界中に衝撃を与えたのは、警察がブルキニを着ている女性に命令して衣類を脱がせている写真だ。現実に起こっていることをまのあたりした国内外の人々から次々と非難の声があがっていった。
「ライシテだ、カトリックの国だ、と言うことは理解したとしても、銃を持った警察官が女性に服を脱ぐことを強制していることが許されるのはおかしいのではないだろうか?」
「女性の人権と自由をないがしろにしている」
「フランスの自由と平等とはいったい何だったんだ」
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