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潘基文氏は国連で何をしたのか その2 ハーバード大留学でも英語が下手

Japan In-depth / 2016年9月16日 11時0分

同様の内部告発は国連事務局に勤めた後、ノルウェ―の国連次席大使となったモナ・ジュール氏からも発せられていた。ジュール氏が2009年に作成した内部メモの内容が2年後に外部に出たのだ。

「潘氏はカリスマ性をまったく有さず、国連、そして世界が直面する重大問題へのビジョンもない。きちんとしたリーダーシップもない。自分の気に入らないことがあると、すぐに感情的になって怒りを爆発させることも多い」

要するに潘氏は国連事務総長という主要国際機関のトップとしてはある程度は持っていなければならないカリスマ性や指導性がまったくない、という指摘なのだ。こうした致命的とも響く非難が国連のなかでも客観的な立場を有するとみられるスェーデンやノルウェーの代表から表明されていたのである。

潘氏の実務能力に関してこれまで一貫して強く指摘されてきたのは彼の英語能力の低さだった。この点、前述のアレニアス氏は「コミュニケーション能力の深刻な欠陥」と表現していた。

アメリカ人の国際政治学者で国連にも勤務したスティーブ・シュレシンジャー氏も「私は国連事務局内部で潘総長の任命を当初は歓迎し、支援しようと努力したが、すぐに彼の英語でのコミュニケーション能力のなさに驚き、心配し、失望した」と述べていた。

もっと率直なのは同じアメリカの国連研究学者のジェームズ・トラウブ氏による指摘だった。同氏は2010年夏、アメリカの大手外交雑誌「フォーリン・ポリシー」に寄稿した「お休みなさい、潘基文」という題の論文の冒頭で次のように書いていた。

「2006年5月、潘基文氏が国連事務総長選への立候補を表明してすぐ、アメリカの『外交評議会』の集いに出て、デビューの質疑応答をしたのだが、私は潘氏の音調のない下手な英語と間の抜けた答えのために20分ほどで居眠りに落ちてしまった」

トラウブ氏はちなみにこの論文で潘氏の総長在任は国連にとって有害であり、すぐに辞任すべきだとも訴えていた。いずれにせよ、「潘国連事務総長の下手な英語」というのはこの時期からその筋の間では共通の認識だったのだ。

韓国出身とはいえ職業外交官でハーバード大学にも留学した人物が英語が下手というのは一般には信じ難い現象かもしれない。だが潘氏の英語の発言を実際に聞けば、納得できるというのが悲しい現実である。たかが外国語の習熟度だけで国際的リーダーの資質は決められないという反論もあるだろう。だが国連事務総長がまず国連での公用語を十二分に使いこなせないとなると、その機能低下は重大である。表現能力は国連の実務の核心部分ともいえるからだ。

国連事務局側もその点には最初から懸念していた。複数の元国連職員によれば、「事務局も潘氏の最大の弱点は英語の流暢さの欠如だと認識して、同氏に週に2,3回、英語の発声方法やメディアへの英語対応の特別訓練を提供したが、あまり効果がなく、その結果、テレビでの発言は最小限にすることにした」のだという。英語の勉強をする現職の国連事務総長というのは、なにか悪い冗談のようにも響いてくる。

(その3に続く。全5回。毎日11:00に配信予定。この記事は月刊雑誌「月刊HANADA」2016年10月号からの転載です。)

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