オバマ大統領最後の国連演説 世界は前に進むか後退するか
Japan In-depth / 2016年9月25日 11時0分
中国やロシアなどを念頭に入れながら、自由市場の力を利用しながら、自由社会のモデルを拒否している国々があることを指摘し、経済の成長が継続していくためには、情報へのアクセスや権力の横暴をチェックする独立メディアが必要で、人々の期待が満たされなければ、やがて圧制や停滞が続き、国内を圧迫するか、外に敵を見つけるかして、危険な状況が出てくると警告している。
もう一点興味ある指摘は、冷戦後、米国は唯一の超大国としてみなされてきたが、権力は必ずしも一極集中ではない、と述べていることである。オバマ大統領は、米国の軍事力の限界については2013年の演説で認めているが、国際社会が直面している諸々の課題については、米国一国だけで対処できるものではなく、国際社会が一致団結しなければならないことを訴えている。そして、世界大戦を防ぎ、国際協調を促進し、国際社会の発展に寄与するために、国連をもっと強化しないといけないとしている。
演説を通して感じられるのが、オバマ大統領の政治哲学、倫理観である。米国の経験を反映したものと断りながらも、米国社会の基盤にある国民主体の民主主義、自由主義、基本的人権、法治社会、開かれた貿易などが今世紀における人類の進歩の基礎であり、政府は国民に奉仕するために存在するのであって、人間の尊厳と個人の自由を尊重するべきであると強く訴えている。
混迷する世界情勢の中で、将来の選択について一つの光を当ててくれる演説であった。
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