ドゥテルテ大統領、反撃開始 批判勢力急先鋒電撃解任
Japan In-depth / 2016年10月9日 19時34分
■マルコス独裁政権を彷彿させる手法
デ・リマ議員に対する上院議員、司法関係者、マスコミまでを巻き込んだドゥテルテ大統領側からの執拗なまでの反撃に、デ・リマ議員自身は強気の構えを崩さずにいるものの、ハネムーン後にドゥテルテ大統領を批判しようと構えていた勢力の気勢を削ぐには十分な効果があったとみられる。
地元マスコミ関係者は「ドゥテルテ大統領批判の矢を放てば、デ・リマ議員のケースのように矢がブーメランのごとく自らに飛んでくる羽目になり、下手をすれば政治的生命、社会的生命が失われかねないと恐れて追及はトーンダウンしてしまうだろう」とドゥテルテ大統領側の戦略を解説し、「その手法はある意味マルコス元大統領を彷彿とさせる恐怖独裁政治だ」と警戒感を露わにする。
もっともこのマスコミ関係者も「記者個人のこうした考えが新聞や放送の論調として堂々主張できない自己規制があることも否定できない。これもマルコス時代と同様」と切歯扼腕する。
ハネムーンを過ぎても高い支持率に加え、10月6日に公表された民間調査機関ソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)のドゥテルテ政権の政策満足度世論調査で76%が「満足」と回答した事実(大統領就任後初の調査としてはラモス大統領に次ぐ歴代2位の高い数字)を背景にドゥテルテ大統領はこれまでの独自強硬路線を歩み続けようとしている。
■日中外交でも注目のドゥテルテ節
オバマ米大統領やユダヤ人に関する暴言、失言も相変わらずで、事後訂正や閣僚による釈明、修正というパターンも定着しつつある。ドゥテルテ大統領は10月19、20日には中国を訪問し、その後22日から27日には初来日する予定だ。中国では南シナ海領有権問題と経済関係、日本では貿易、投資促進がそれぞれの首脳会談で議題となることが予想される。国際社会の予想に反してフィリピン国内では批判勢力をこれまでのところ見事に抑え込み、政権基盤を着々と固めつつあるドゥテルテ大統領。その一挙手一投足、一言一句に惑わされることなく、ドゥテルテ節の裏にあるその真意を探ることが求められる首脳外交だが、日中の首脳にそんな芸当ができるだろうか。
ドゥテルテ大統領の外交戦術の当意即妙、相手を煙に巻く戦術はラオスで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議でも十分に発揮された。
さらに、ドゥテルテ大統領の和平交渉呼びかけを拒否しているイスラム過激組織や和平合意したものの、条件闘争で不満感を募らせている共産党系組織、さらに壊滅の危機に直面している麻薬組織などが虎視眈々と反撃を狙っているとの情報もあり、大統領留守中のフィリピン国内の情勢にも注意する必要があるかもしれない。
トップ画像:出典 Rody Duterte facebook
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