韓国サムスン、最悪の出火スマホ対応 米で不信感頂点に
Japan In-depth / 2016年10月11日 18時0分
岩田太郎(在米ジャーナリスト)
「岩田太郎のアメリカどんつき通信」
安全なはずの代替機が、米国内で1週間に3件も発火事故を引き起こした、韓国サムスン電子の最新鋭高級スマホのGalaxy Note 7。米国内では、サムスンの問題隠し的な行動と、後手に回り続ける不誠実な対応を非難する声が一気に高まってきた。
米国時間の日曜日には、米通信大手4社のうち、AT&TとTモバイルがGalaxy Note 7の販売および代替機への交換取りやめを発表。残るベライゾンと、孫正義会長率いる日本のソフトバンクの傘下にあるスプリントの追随も時間の問題だ。アップルの新型スマホiPhone 7の競合として華々しく登場したGalaxy Note 7は、米国市場から締め出されつつある。サムスンはGalaxy Note 7の製造を中断した。
サムスン批判が先鋭化してきたのには、構造的なGalaxy Note 7の安全問題が繰り返し起こっているにもかかわらず、積極的な第2回目のリコールなどの対応をとらないばかりか、「発火したデバイスがGalaxy Note 7かどうか確認が取れない」、「Galaxy Note 7の問題ではなく外部の要因が原因」、「交換したGalaxy Note 7は安全」などと、消費者に責任を転嫁しようと試みるところで一貫する、サムスンの企業姿勢に米国の消費者やメディアが不信感と反発を見せているからだ。不安と不信は頂点に達している。
ガジェット愛好者の間で強い影響力を持つウェブメディアのThe Vergeのコラムニスト、ジェームズ・ベアハム氏は、「10月5日、ケンタッキー州ルイビル発サウスウエスト航空994便の出発前、乗客が手荷物として機内に持ち込んだGalaxy Note 7が発火してフライトがキャンセルされたのは大きく報じられたが、同じくケンタッキー州ニコラスビルで10月4日早朝の4時に別のGalaxy Note 7が発火し、煙を吸い込んだ持ち主が急性気管支炎で病院へ急行したことについて、サムスンが知っていたにもかかわらず、何の発表もしなかった。これは非常に気がかりなことだ」と言明。
また、「サムスンは持ち主のマイケル・クラーリング氏に対し、問題のスマホを引き渡してほしいと要請したが、クラーリング氏は拒否した」と伝えている。問題を起こしたスマホの製造元が、事故を起こしたデバイスを第三者的な公平さで調査できないことは明らかであり、米消費者製品安全委員会などの手に委ねられるべきだ。持ち主のサムスンに対する対応は正しかったといえよう。
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